昨日P173Breezeの納品を無事に終えて

ホッとしたのも束の間、次は先週入荷した

P159Boraのプレップアップ作業に突入。

 

楽しみにされているお客様に向けまして

その調整内容を一挙に公開!

 

・・・余りに長いので覚悟して下さい(^^;;

 

ハンマーの角度、方向性をのり紙や

アルコールランプを使いながら修正。

 

ハンマー先端と弦の位置を精密に調整。

 

まだ芯が残っているハンマーフェルトに

ざっと針刺し、第一整音として弾力性を

おおまかに作っておきます。

 

アクションを外に出してフェルトを整形、

右は処理済み、左は未処理。

艶やかな音を奏でるように作業します。

 

低音域のハンマーフェルトは1本ずつ、

横からみてシンメトリーとなるように...

 

毛羽立っていたフェルトを美しく整形、

今の段階ではハンマーの高さが不揃い。

 

バランスキーピンの前後位置を微調整。

 

棚板と鍵盤筬に浮きがないよう入念に

スクリューで調整していきます。

 

鍵盤の凸凹を事前に定規でチェック

 

アクションを外したら1本ずつキーピン磨き、

計176本をべとつきなくクリーニングします。

 

先のチョークのメモをもとに鍵盤高さを

様々な厚みのパンチング紙で調整。

 

フロントキーピンの角度を定規をあてて

確認、正しく修正していきます。

 

鍵盤ホールをブラッシング、新品の場合

木屑が混入しているので掃除します。

 

鍵盤の遊びを1鍵ずつしっかりチェック、

必要に応じてキープライヤーで調整。

 

キャプスタンスクリューもクリーニング

右がビフォー、左がアフター

滑らかな弾き心地を生み出すためには

部品同士が擦れる箇所のケアが肝心。

 

これで土台となる鍵盤調整が完了!

 

再びアクションを搭載してピアノ本体へ。

鍵盤の高さを徹底的に精密に均すことで

正確なアクション調整が可能となります。

 

あらためて弦合わせをチェックした後...

 

シャンクローラーとレペティションレバーの

嚙み合わせをひとつずつ念入りに調整。

 

小ジャック、キャプスタンスクリューと

アクションの接点もチェックしながら、

場合によってはのり紙を貼って修正。

 

バックチェックの角度、間隔を調整。

ハンマーのテール部を正しい位置で

受け止めるように作業します。

 

シャンクローラーにテフロンパウダー処理。

アフタータッチの上質な感触を作ります。

 

ジャック前後の位置を横から見て調整。

88か所、根気よく作業していきます(汗)

 

ジャックの高さを指でなぞりながら確認、

88か所、根気よく作業していきます(汗)

 

続いて大事なハンマー接近調整。

真上からLEDライトを照射しながら

繊細なpppが表現できるように設定。

この後、ハンマードロップも調整。

 

まず白鍵の深さを10mmに調整。

 

白鍵のアフタータッチで打弦距離は決定。

鍵盤高さ同様に基準をとって均します。

 

アフタータッチをもとに黒鍵の深さを

正確に整えたらハンマーストップ調整、

打弦後15mmの位置で止まるように。

 

88か所のスプリング調整を行った後

調律をA=442Hzで実施。

 

これで「整調」「調律」がようやく完了...

ただ、まだピアノを「楽器」にする作業、

画竜点睛たる「整音」が残っています。

 

ハンマー先端にカーボンで弦跡を付けて

まずはソフト(シフト)ペダルの整音。

 

以前にもご紹介したように強弱をつけて

半音階を聴きながら丹念に針刺し整音。

アルフレッド・ブレンデルの助言

料理人が味を整えるように技術者にとって

音に対するセンスが問われる作業です。

 

ハンマーフェルトの弾力性を整えた後、

弦とハンマー先端の接点を緻密に調整。

3本の弦を同時に打つまで入念に...。

 

最後は弦1本ずつ音質をチェック...

88音が美しいレガートを奏でるように。

 

まだダンパーの調整を残していますが、

これにてアクションの整備が完了!

 

超一流ピアニストでも小さなお子様でも

整備したピアノをお届けする想いは同じ。

 

その昔、ショパンやリストなど作曲家が

特定の人物に楽曲を「献呈」したように...

 

1台1台のピアノをそのお客様のために

最高の状態に整えるのが弊社の理念。

 

またそれは、手間をかけてピアノを作る

チェコの職人に対する礼儀でもあります。