スクリャービンは私のお気に入りの作曲家だが、弾いた曲数は非常に少ない。人前で弾いた作品は幻想曲作品28だけだ。 せっかくよい曲が沢山あるのに、ロクに弾かないままでいるのは自分でも惜しいと思い、昨年からスクリャービン愛好家の仲間に入れてもらって、演奏会で弾かせてもらっている。今年は詩曲Op.32-1、エチュードOp.2-1, 8-12の3曲だ。
 今日は仲間うちで試奏会をしたが、散々な出来であった。練習不足なのは確かなので、散々だったこと自体はあたりまえなのだが、同時にスクリャービン独特の怖さも再び体験することとなった。彼の作品はひとたび間違うと連鎖反応的にそれが続いてしまうのである。他の作曲家の場合は、間違ってもすぐに元に戻れることが多いが、なぜかスクリャービンはそれが難しい。昨年弾いた幻想曲でも同じ思いをした。彼の作品を弾くためには、自宅における練習で、他の作曲家以上の完成度に達していなければならない、ということになりそうだ。