川口成彦 Naruhiko Kawaguchi

川口成彦の音楽の日々を綴っていきます。また、ピアノやフォルテピアノ、チェンバロに関する記事やスペイン音楽に関する記事もお楽しみください!!


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   こんにちは。 かなり久しぶりのブログ更新、本日はゴヤの生きたスペインの作曲家ホセ・テイシドールについて書いてみようと思います。2014年から行っている「ゴヤの生きたスペインより」の作曲家紹介はまだ健在です!!笑 よろしくお願いします^^

 ホセ・テイシドール José Teixidor y Barceló (c. 1752-c. 1814) はカタルーニャ州のリェイダ(Lérida)にあるセロス(Serós)という街で生まれました。彼が生まれた年は明確ではありませんが、1784年3月13日の日付でサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂での役職を申し込むために出された手紙の中で彼が32歳だと述べているため、1752年に誕生したのではないかと考えられています。テイシドールはA. ソレールの弟子であったようで、エル・エスコリアルの音楽史料館には1772年に書かれた2曲のクリスマスのためのビリャンシーコのような若き日の作品が保管されています。


 若き日の彼はリェイダのカテドラルの楽長を務めたほか、マドリードにあるラス・デスカルサス・レアレス修道院 Las Descalzas Reales のオルガニストを1774年から1778年まで務めましたそして1778年にはアントニオ・ウヘナ Antonio Ugena の後を引き継いで王立礼拝堂の副楽長および少年合唱団の学校の副学長に就任します(ウヘナは1777年にフランシスコ・コルセッリ Francisco Corselli の死に伴い、王立礼拝堂の楽長となりました)。しかしながらこれらの役職で得られる給料はなかなかに厳しいものであり、テイシドールは1781年にはコルドバにおける役職を、1784年にはサンティアゴ・デ・コンポステーラにおける役職をそれぞれ取得しようと試みたようです(うまくいかなかったようですが…)。しかし1788年にミゲル・ラバサ Miguel Rabaza の死により空いた王立礼拝堂の第4オルガニストの地位を手に入れることになり、1810年までに第2オルガニストの地位まで登りつめます。




ラス・デスカルサス・レアレス修道院


 この頃ヨーロッパというのは激動の時代にありました。1803年より始まるナポレオン戦争はスペインにも大きな被害をもたらしました。フランスはスペインに侵略し、ナポレオン・ボナパルトの兄であるジョゼフ・ボナパルト(1768-1844) がホセ1世としてスペインの王位につきます(在位1808-1813)。そしてフランス人支配に反発する動きは拡大してスペイン独立戦争が戦火を増すのです。ゴヤの『マドリード、1808年5月3日(プリンシペ・ピオの丘での虐殺)』はこの当時のスペインの状況を伝えるショッキングな絵画です。ゴヤはフランス軍による市民の虐殺をこの絵で激しく非難しました。こうした情勢の中テイシドールは王立礼拝堂の音楽家としてフランス政府の傘下に置かれることを拒み、オルガニストの役職を放棄したと思われます(王立礼拝堂が閉鎖したのでしょうか、、今現在僕は十分な情報を手に入れていません)。そして1810年以降テイシドールがどのように生きていたか、そしていつどこで亡くなったのかは謎に包まれています。バルサタール・サルドーニ Baltasar Saldoni という人物は1814年または1815年に彼はムルシアで亡くなったという説を唱えていますが、1814年よりも前にマドリードで亡くなったのではないかとも考えられています。


ゴヤ 『マドリード、1808年5月3日(プリンシペ・ピオの丘での虐殺)』



 テイシドールの作品は今日知られるものでは1775年にドン・ガブリエル王子のために書かれた『チェンバロのためのソナタ』数曲(単一楽章)や1794年に「マドリード新聞」で出版を知らされた『チェンバロまたはフォルテピアノのためのソナタ』(Allegro-Largo-Finale presto の3楽章形式)がまず挙げられます。個人的に好きなのはLargoの楽章で曲の後半で主題が細かい音符で変奏する部分が晩夏の涼しげな夜風にカーテンがさらさらと揺れ動くような美しさがあります。Finale prestoはD.スカルラッティの速い作品を思わせる歯切れの良さで耳に心地よいです。その他に1800年頃の『6つの弦楽四重奏曲』も大変興味深いです。そして宗教曲を中心として声楽曲も多く残しているようです。


 また彼は作曲家のみならず理論家、教育者としても重要な人物でした。 "Discurso sobre la historia universal de la música" という1804年にマドリードで出版された書物は彼の著書を代表するものです。「音楽の世界史」と訳すことができるのかな。。。


  テイシドールの弦楽四重奏曲がYoutubeにアップされていました !! 1801年の作品である 『弦楽四重奏曲第2番 変ホ長調』 より第1楽章 "Allegro non presto" です。 途中僕が今フォルテピアノでよく演奏しているJ. C. バッハのピアノソナタ op.17-6 にあまりにも酷似している部分があり、「あれ、テイシドールさんはクリスチャンンの音楽などに影響受けているのかな!?」と少し思いました。偶然だとは思いますが、、、。でも18世紀末以降のスペイン人作曲家がドイツ系の作曲家の音楽的語法に大きく影響を受けていることを伝えてくれる一例のような気がしました。日本でどなたか演奏してくれないかな~笑。

https://youtu.be/fmaVjUzqqyE


 さてテイシドールの『チェンバロまたはフォルテピアノのためのソナタ』は7月16日に栃木県の西方音楽館にてフォルテピアノで日本初演いたします。お客様の反応が楽しみ^^今後も僕の重要なレパートリーになりそうです。




それでは

















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