特別な名演、インバル都響。マーラー交響曲第10番(クック補完版) | ピアニッシモのクラシック音楽日記☆

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7/21はエリアフ・インバル指揮、東京都交響楽団の都響スペシャル(サントリーホール)。

■曲目
マーラー:交響曲第10番 嬰へ長調(クック補完版)

2012年9月から今年2014年3月にかけ、マーラーの交響曲第1~9番をツィクルスとして披露してきたインバル&都響。私はなぜか4、5番に行かず、それ以外は全て聴き、どれも素晴らしい演奏でした。
そして今回が実質的に最後となる、10番でした。

私、この10番はマーラーの交響曲の中でも最も馴染みが薄く、実演を聴いたのも今回が初めて。そのため曲の細部はおろか、クック補完版による演奏上の効果など語れることは何もありません。
しかしそんな状態でも今回の演奏、ものすごく感銘を受けました。インバルの表現そして都響の演奏が見事すぎる。表現された10番の世界があまりに完璧で心を打たれました。

第1楽章アダージョでは、不安が入り混じったような切ない旋律たちが細く柔らかく重なり、比較的穏やかに流れているようでした。どこか交響曲第9番も想起させられ美しさと切なさが同居しているように感じました。この曲は交響曲6番や8番のように極端なメリハリがなく大海原で様々な形の波が描かれるようでありますが、しかし気づくと第5楽章。得も言われぬ世界・・・!音楽がこれまでの何段も深く濃厚に。瞑想的で悲劇的、そして狂おしく甘美にのた打ち回るようでした。切なる祈りとかなわない苦しみ、残酷にも美しい情景がありありと描かれていて、恐ろしい気持ちになると同時にとても心を打たれました。こんな音楽を完璧に表現するインバルと都響は凄すぎ。最高のコンビだと思いました。

オケ、インバルとのマーラーの時、いつも濃厚で甘美、かつ狂気じみた音でうねります。そして非常に機能的。奏者全体が完璧にバランスし各曲の世界を完璧に作っていると思います。
ヴィオラ、チェロ、暗く深くうねり、弦全体が非常に濃密でした。トランペットが怒りを伴うような言いようのない切ない音でまっすぐ通ること。緊迫する空気の中大太鼓が間(ま)をおいて打撃。その間の静寂がたまらなく恐ろしく悲しい。最終楽章のフルートの高貴で柔らかい歌い口が切なく痛々しい。各場面でポロポロ鳴るハープの音量、タイミング、ワビサビを思わせるほどの完璧さでした。他の奏者の方々も含め、全てが完璧・・・!

今年聴いたマーラーでは、同じくインバル都響の8番やシャイー&ゲヴァントハウス管の7番も相当良かったのですが、今回は特別に思えてなりませんでした。
うまく説明できませんが、あの独特のインバルマーラーの音、苦しく迫ってくる狂った情熱のようなもの、それが完璧なアンサンブルで演奏される凄さ・・・これを目の当たりにする経験は中々ないだろうと思いました。

巨匠インバル。今回サントリーホールでは都響とのこれまでの歩みが特別展示されていました。拝見してみると、私自身が子供の時からすでに都響と共演され、関係を深め、今回のような名演を繰り広げられてきたということを知り、改めて感動しました。
私よりも上の世代の方はまた違った感覚を持たれているかもしれませんが、私にとってこんな感動的なマーラーを披露してくださるインバルは英雄的存在。これからもお元気で素晴らしい演奏をたくさん聴かせてほしいです!