全国的に荒れた天候のようですね。
気温も定まりません。
僕は、少し咳が出ています。

さて、一昨日からアップしている
「Swatch」
の写真、三回目。

今日は、こんな写真です。

フォトグラファー南雲賢のブログ-南雲 写真 Swatch 時計

このシリーズは見開きを含め、十ページほどのカットを撮影させていただきました。
その中でも、僕が一番気に入っている写真です。

作業としては、先ず腕時計を本体、ベルトの上下で三つに分けて、35ミリカメラでポジで撮影しました。
現像後それを、各カットに切ります。
そしてアクリル板の上に並べ、今度は大型の4×5インチのカメラで真上から撮影しました。
透過光撮影ですね。
撮影としては、一般的で非常に単純な方法です。

発想、コンセプトとしては、僕が尊敬して止まないアーティスト、ディビット・ホックニーの手法です。
言葉を変えると所謂
「キュピズム」
の手法です。
ホックニーの手法を用いての広告等、結構流行った時期があったのですが、雑誌でこの手法を使ったのは、おそらく日本では僕が初めてのことだと思います。
「写真とキュピズム」
については、長くなってしまいますので、機会がありましたら又書きますね。
デイビット・ホックニーに関しては、ネットで調べると幾つも検索にかかると思いますので、興味ある方は調べてみてくださいね。

さて・・・今回の「Swatch」に限らず、腕時計には色々なデザイン的な主張が含まれています。
本体の形、厚さ、針の配置、この辺はマニアックになってきますが、文字盤の凹凸等(この辺が腕時計の値段が決まる一つの要素でもあります)・・・。

そして本体に対し、ベルトも大きなデザイン的要素になります。
しかし当然ながら、腕時計を商品として宣伝する場合、どうしても本体を全面に出しての、ビジュアルになってしまいます。

このカットに関しては、そのアンチテーゼとしての写真を、僕は撮りたかったのです。
つまり、本体そしてベルトを同等の物として扱いたかった。
言い方を変えると、この写真を見る人の目を満遍なく、動かしたかった(これがキュピズムのキュピズムたる所以の一つだと、僕は思っています)

そしてなおかつ、全体で観た時に鑑賞者が笑ってしまう、もしくは嬉しくなってしまう様な、写真に仕上げたかったのです。
ご存知のように「Swatch」は決して高級な時計ではなく、主にお若者が気軽に購入、お洒落の一環として身につける腕時計です。
本体のデザインが気に入って「購入」は普通でしょうが・・・
ベルトがカッコいいから「購入」・・・
も、アリでしょう?笑
いかがでしょうか?

もう一つ、この撮影の時のエピソードを・・・
このカットは、当日の撮影の最終カットでした。
このカットには、スタイリストさんは絡みませんでしたので、スタイリストさんは、そろそろ後片付けを始めていました。

僕がアクリル板に35ミリポジを並べ、編集担当者、それにアシスタントと共に
「これを逆さまに置いちゃえ・・・」とか
「一番左の真ん中、あと一ミリ中にずらして・・・あぁ・・・行き過ぎ」
などと言う、作業をしていました。

全体の流れが出来たのですが、僕としてはもう一つポイント言うか、動きが欲しい。
ちょっと、行き詰った時です。
スタイリストさんがその様子を見いて、さりげなく自分が持参していた裁縫用の小さなハサミを、アクリル板の上にチョコン・・・と、置きました。
「おぉ!これだ!!」

おわかり頂けるでしょう?
このハサミで全体的な流れの中に締まりが出来て、なおかつ作品に三次元的・・・いや、四次元的な動きが加わりました。
昨日、一昨日の「Swatch」の写真は、三次元を二次元の写真に変換した、だけなのです。
この作品は、四次元(時間軸)・・・
つまり
「僕達がこの写真を撮っている作業をしている」
と言う時間工程。
それをも含む、写真作品となりました。
正に三次元物体が四次元をかもし出す
「時計」
に相応しい、キュピズム作品になったと僕は自負しています。

僕の
「自由な発想」
を受け入れてくださった編集部に感謝!
そして真のプロフェッショナルとして、活躍してくださったスタイリストさんに感謝!
思い出すと今でも胸が熱くなる、僕の想い出の
「Swatch」
の写真です。

南雲賢

追伸
この写真を撮ってから、僕にはキュピズムに対する構想がどんどん広がって行きました。
その大きな節目となる
「写真アート」作品
が、1月26日に書きました
写真とアート
このブログになります。
興味のある方は、こちらもどうぞ・・・

僕の撮った写真は、サイト「フォトナ」で観ることが出来ます。
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