dpiの計算 | フォトマスター検定1級勉強法

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dpiの問題は計算が面倒です。

16D-2…明視の距離25cmで滑らかなプリントをするのに必要な解像度(200dpi)
16D-7…フィルムスキャナーでスキャニングする場合の解像度
16D-8…フラットベッドスキャナーでスキャニングする場合の解像度
16D-19…A4でプリントする場合の計算問題
17bD-14…ISOで策定、CIPAが推奨したチャートで1300本以上が高い解像力
19D-20…明視の距離25cmで滑らかなプリントをするのに必要な解像度(200dpi)
20D-22…A4でプリントする場合の計算問題(16D-19と同じ問題)
25D-22(25R-19)…16D-2とほぼ同じ問題

〔レタッチ分野〕

26R-21…A4でプリントする場合の計算問題(20D-22、16D-19と同じ問題)

16D-2と19D-20には「明視の距離25cm」という謎の距離と数値が出てきます。
「明視の距離」の項目が『写真用語事典 改訂版』にあるので引用します(pp.242-243)。

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明視の距離 〔distance of most distinct vision〕
 正視の人、つまり目のよい人が目を調節しているという意識がなく、いちばん楽にはっきり物を見ることをできる距離をいい、目から25~30センチの距離が明視の距離に当たる。なお被写界深度を算出する条件の許容ぼけの計算などに、この明視の距離を使う。
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25cmは根拠がある数字のようです。
16D-2と19D-20には選択肢が3つあります。
①100dpi
②200dpi
③400dpi
正解は②200dpiです。

では、どう計算したら「200dpi」という数値は出るのでしょうか。
『フォト検過去問題の解答と解説2』の19D-20の解説を引用します(p.297)。

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ドットがわからないような滑らかなプリントとは、35mm判フルサイズなどと呼ばれるデジタルカメラの撮像素子の場合には、画面上に約0.033mmの点を写し込み、その画面全体を八ツ切りサイズ(約216×165mm)程度の用紙にできるかぎり大きくプリントして、明視の距離(25cm=250mm)で鑑賞した場合にシャープに見えるかどうかを基準としている。画面上で約0.033mmの点は八ツ切りサイズの用紙にプリントした場合、0.033mm×216/36=0.198mmの点となる。0.198mmの点をプリントできる解像度(dpi)は、25.4/0.198=128.3dpiとなる。したがって、100dpiでは難しく、余裕を含めて200dpi以上の解像度を必要とする。
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ここでも突然「約0.033mm」という数字が出てきました。
この数字の根拠はなんなのでしょうか。
写真用語事典 改訂版』の「許容ぼけ」の項目にヒントになる数値がありました。
引用します(p.184)。

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許容ぼけ 〔permissible circle of confusion〕
 錯乱円(ぼけ)の許容量とも言う。肉眼の細かなものを見分けられる能力は角度で1分とされているが、写真のように連続して調子が変化している場合では、これより少し条件をゆるくして、角度で2~3分までの大きさのものはぼけていることがわからず、シャープに見えるといわれている。これを基準にすると、明視の距離25センチで印画を見たときには、0.16~0.2ミリのぼけまでは肉眼ではぼけていることがわからない。
 いっぽう、写真はその対角線の距離から見るのが自然だという条件もあり、これを土台にすると、明視の距離で見るのに都合がよい印画の大きさの八ツ切では、約0.2ミリのぼけまではシャープに見えるという仮定ができる。現在の写真はすべて引伸ばしを前提にしているが、35ミリ判から八ツ切判への引伸倍率は6倍だから、35ミリ判の許容ぼけは0.2を6で割った0.03ミリ、ないし1/30ミリという数値になる。これが現在、35ミリ判に採用されている被写界深度の、一般的な許容ぼけの条件である。(後略)。
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引用文の後半に「1/30ミリ」という数字が出てきます。
これが「約0.033ミリ」の正体なのでしょう。

「0.033mm×216/36=0.198mm」という計算も最初は意味不明でした。
「36」はどこから出てきたのでしょうか。
これは解説を読み直してわかりました。
「35mm判フルサイズなどと呼ばれるデジタルカメラの撮像素子の場合には」とあります。
フルサイズの撮像素子の長辺は約36mm、短辺は約24mmです。
「36」はここから来ていると考えられます。
「216/36」は、八ツ切の長辺の長さを撮像素子の長辺の長さで割ったものです。
0.033mmの点を、八ツ切の大きさに拡大(216/36=6倍)すると、0.198mmになることを表したのが「0.033mm×216/36=0.198mm」なのです。

最後に「25.4/0.198=128.3dpi」です。
「dpi」は「dots per inch」で、「1インチ=約25.4mmあたりのドット数」という意味です。
「25.4/0.198」は、「1インチ=約25.4mmの中に0.198mmの点はいくつあるか」ということです。
計算すると「128.2828…」という数値が出ます。
約128.3です。
「128.3dpi」は、「1インチ=約25.4mmあたりのドット数は128.3」ということです。
これで答えが出ました。
1インチの中に約128.3個の点が並ぶ程度の解像度でプリントすれば、25cmはなれたところからプリントを見てもシャープに見えますよ、ということです。

100dpiでは128.3dpiよりも小さい数値なので、いけません。
問題文には「( )程度以上の解像度が必要である」とあります。
200dpiを空欄に入れると、「200dpi程度以上の解像度が必要である」となります。
128.3dpiよりも大きければいいのですから、200dpiもあれば充分です。
「200dpi程度以上」ですから、400dpiも含まれます。
400dpiが間違いなのは、これを空欄に入れたら分かります。
「400dpi程度以上の解像度が必要である」となります。
これでは、200dpiでは足りないと言っていることになります。
よって、400dpiは間違いです。

それでは次に、
16D-19…A4でプリントする場合の計算問題
20D-22…A4でプリントする場合の計算問題(16D-19と同じ問題)
の計算方法を説明します。
説明に必要なので、問題文を『フォト検過去問題の解答と解説2』から引用します(p.336)。

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「6cm×4.5cmのフィルムをスキャニングしてプリントする場合、A4用紙横長(297mm×210mm)に長辺の左右の余白をそれぞれ10mm(短辺はなりゆきとする)とって350dpiでできるだけ大きくプリントをするのに、取り込む画像の保存時のファイルサイズをできるだけ小さくかつ高精細なプリントをするためには、解像度をいくつに設定すればよいか、最も適切なものを次の中から選べ。」
①800dpi
②1600dpi
③2400dpi
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20D-22の解説(『フォト検過去問題の解答と解説2』のp.337)だと、長辺の場合は5回、短辺の場合は4回の計算を行なって答えを出しています。
長辺だけ計算します。
短辺は、長辺の「(1)左右の余白を引く」の計算がないだけです。

《長辺》

(1)左右の余白を引く

297-(10×2)=277

(2)mmをインチになおす

277/25.4=10.9

(3)ドット数を計算する

10.9×350=3815

(4)取り込み時の解像度を計算する

3815/60=63.6

「60」は「60mm」のことで、フィルムの長辺6cmをmmになおしたものです。
この63.6は、1mmあたりのドット数です。

(5)1mmあたりのドット数をdpiになおす

63.6×25.4=1615.4

正解は、②の1600dpiです。

この5つの式はつなげることができます。

{297-(10×2)}/25.4×350/60×25.4=1615.4

この式からは、25.4を消すことができます。
25.4を消すと、以下の式になります。

{297-(10×2)}×350/60=1615.4

つまり、この形式の問題は、25.4など使わなくても、問題文中の数値だけで答えを出せるのです。
短辺の計算をこのやりかたでやると、

210×350/45=1633.3

という答えが出ます。
解説だと1640.8という数値が出ています。
これは(2)と(4)の割り算の時に、四捨五入しているためです。
210×350/45の計算で1600dpi以上の数値が出ているので、問題ありません。

16D-7に出てくるフィルムスキャナーについての問題もたまに出題されます。
以下をご覧ください。

フィルムスキャナー