松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~ -2ページ目

松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

創造芸術は人間の根源的な表現欲求と知的好奇心の発露の最も崇高な形。音楽家・作曲家を目指す貴方、自分の信じる道(未知)を進んでいきましょう。芸術・音楽・文化と共に人生と社会を豊かにしていきましょう。~頑張れ日本!〜がんばろうニッポン!

私が本格的に世界現代音楽祭に参加する機会は1992年に訪れました。
その<ISCM World Music days '92 Warsaw>について、
想い出やエピソードをご紹介しましょう。

フライトはアエロフロートのモスクワ一泊乗り換え便
でした。今のような直行便はまだ少なかった時代です。
欧州便は、アンカレッジ経由かモスクワ経由のフライト
が一般的だった頃の最終期でした。
今から考えると信じられないようなレベルの内装と
サービスで、足をバタバタさせているうちに
カーペットがめくれ上がって床の合金の地金が
見えてくるようなボロボロのカーペットや、
ビヤ樽のように太ったスチュワーデス
(現在はキャビンアテンダントと言いますね)
が、食事のサービスが終わった後に空いている席で
いびきをかいて眠っているなど、
とにかく "怖い" を通り越して "面白い" 体験でした。

ペレストロイカの時代の直後で社会主義の崩壊期でしたから、
資本主義的な思考が浸透しはじめていたのでしょう。
モスクワ空港に到着すると、トランジット・ロビーに
日本人だけを目当てとした "モスクワ市内観光2000円"
の勧誘があり、何時間も待ってから宿泊先に案内される
通常の扱いよりは遥かにマシということで、
大半の日本人はそのツアーに参加したのでした。
とにかくビザ無しにもかかわらず、
赤の広場を自由散策できて、
クレムリン宮殿やレーニン廟を眺めたり、
キャビアや民芸品の店に案内されたりといった、
バスによる市内観光を体験できて、最後には、
(あの不評をかっていたエアポートホテルではなくて)
元ソビエト共産党幹部の宿舎と思われるテラスハウス風の
コテージ式ホテルに一泊できたのでした。
そして、翌日のチェコ航空ローカル便で
ワルシャワ入りしました。

私にとって初めてのヨーロッパ旅行は、
このようなユニークな体験から始っていったのでした。
同じ便に、同一音楽祭に同じく入選されていた作曲家=
大村哲弥氏が乗り合わせていて、
イサン・ユン氏の想い出など
いろいろとお話を訊かせていただきました。
(大村氏は先年に鬼籍に入られてしましました。
 まだお若かったのに残念です。
 ご冥福をお祈りいたします。)

珍道中記・体験記、まだまだ続きます。

今日の写真は、赤の広場の景色です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-赤の広場

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第205巻の紹介です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

所謂"セノハチ越え"を支えるシェルパ機関車=EF67形直流電気機関車の

真っ赤な塗装をまとった雄姿をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第205巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

山陽本線の八本松ー瀬野間は、「瀬野八」と通称されて知られる22.6パーミルの

急勾配が連続する難所となっています。そのため、重量列車では

列車の最後尾に補助機関車を連結して坂を押し上げるスタイルで運行されています。

その補助機関車専用に開発されたのが、EF67という訳です。

新造ではなく、EF60もしくはEF65を改造して誕生した形式でもあります。

赤11号を基調とした塗色をまとって、後継機への置き換えが進んだ現在も、

まだ一部は現役で活躍しています。

 

 

次のページをめくると、JR東日本の新幹線の電気・軌道総合検測車、

E926形電車"East i"の特集です。

ミニ新幹線の線区にも乗り入れて検測できるように、

秋田新幹線用のE3系を基本とした車体規格と性能を有していて、

各種検測機器を装備した6両編成で活躍しています。

 

 

更にページをめくると、国鉄キハ07形を改造して生まれた気動車の写真が目を惹きます。

鹿島鉄道キハ600形の特集です。登場当時の丸みを湛えた独特の先頭部の形状は、

その後の改造で平妻化されてしまいなくなりましたが、小まめな窓がズラリと並ぶ

3扉の側面に往時の面影を残していました。

現在は601が動態保存されているということです。

 

 

「日本の鉄道の歴史」シリーズは、青梅鉄道公園の特集です。

日本の鉄道90周年を記念して1962年に開館した鉄道保存公園です。

山の上に位置していて、以外な車両に出会えるスポットとして、

根強い人気を誇っています。入場料は今でも100円という貴重な存在です。

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、JR九州の新幹線車両800系の特集です。

九州新幹線鹿児島ルート向けに開発されて活躍している車両です。

九州新幹線内での運行を基本とするため、6両編成で全て普通車という構成ながら、

郷土色を盛り込んだインテリアなどで大いに魅力的な新幹線車両に仕上がっています。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。

 

 

2020年は、楽聖=ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの

生誕250年にあたりました。

小学校高学年の頃からオーケストラを聴くことに強い興味を持つようになった私に

とって、ベートーヴェンの交響曲の交響曲全曲を聴くことが先ず最初の目標でした。

カラヤン指揮:ベルリン・フィルの来日演奏会で、ベートーヴェンの田園と第5

というプログラムを聴いた時の情景は、まだ脳裏に鮮明に残っています。

そして、昨日から9曲の交響曲を番号順に探訪しています。

 

写真:第1番&第2番 ホグウッド指揮&アカデミー・オブ・エンシェント盤(CD)

 

2回目の今日は《交響曲第2番ニ長調》をご案内します。上の写真は

私の愛聴盤、ホグウッド指揮 / アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック

による演奏による、第1番と第2番のカップリングです。

 

###ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン###
        (1770-1827)
     交響曲第2番 ニ長調 作品36

初演:1803年4月5日
   アン・デア・ウィーン劇場

交響曲第2番は、ピアノ協奏曲第3番などと共に初演されました。

この頃のベートーヴェンは、聴覚の異常に悩まされ始めて、

精神的に大きな苦難を抱えていました。

1802年10月には有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれました。

しかし、この曲からはそのような苦悩の跡を感じることはほとんどありません。

この苦悩・苦難を克服した成果は、次の交響曲第3番「英雄」に見られる、

驚異的な飛躍に結実していきます。

 

この第2番の全曲の演奏時間は約35分の規模ですから、第1番と同様に

ハイドンやモーツァルトの交響曲の規模の延長上と論じることもできます。

しかし、随所に第3番「英雄」以降の飛躍に向けての萌芽を見出すことができます。


第1楽章は、冒頭から序奏の規模が大きくなったことが伺えます。

後年の交響曲第7番の第1楽章の序章を予感させてくれます。

後続の様々な主題との動機関連が、かなり綿密に考えられていることも見出せます。

ゆったりとした三拍子から早いテンポの4拍子に変わるところから、

ソナタ形式主部に突入します。

第一主題は(移動ド読み:ドーードシドレドーーミレミファソ・ソ・ミ・ミ・ド~)

と始まります。どことなく第1番・第1楽章・第一主題との近似性も感じられます。

順次進行主体の第一主題と跳躍進行主体の第二主題が提示される提示部から

定型通りの繰り返しを経て、ハイドンやモーツァルトよりもやや長い展開部を経て

再現部に突入して、更に楽章を締めくくる部分の終結部がかなり拡大した構成を示す

ソナタ形式の扱いによって楽章を閉じます。

終結部を第二展開部と捉えられるような

(私が呼ぶところのベートーヴェン流四部構成ソナタ形式)が、

いよいよ確立してきたと見ることができます。

 

第2楽章は、イ長調で基本的に穏やかな音楽です。

第1番の第2楽章と同様に、ソナタ形式の構成に乗せた緩徐楽章となっています。

各主題に第一楽章の各主題との近似性を見出すことができます。

第3番以降の第2楽章(緩徐楽章)はソナタ形式を離れて

独自の構成を採っていきますから、この第2番までが、

シンフォニスト(交響曲作曲家)としてのベートーヴェンの

初期と考えてよさそうです。

 

第3楽章はニ長調で、スケルツォと明記されています。

早めのテンポで全曲の中でスパイスのような存在感があります。

スケルツォの主題は、第1楽章の序奏の冒頭から提示される

順次進行の三つ並びの音形(動機)が活用されています。

古典組曲の時代のトリオ付メヌエットの定型通りの構成になっていますが、

独特の強弱の交錯などにベートーヴェンの個性が色濃く反映されています。

トリオ(中間部)では、管楽器群と弦楽器群が交替する

軽妙なオーケストレーションを聴くことができます。

 

第4楽章もニ長調で、ソナタ形式による終楽章です。

第一主題・推移楽想・第二主題などを分析的に眺めてみると、

これまでの楽章に登場した主題や動機をの関連性を見出すことができます。

展開部の前半で第一主題が原形通りに登場することから、

ロンド形式にも近い側面を持つこの楽章は、ロンドソナタ形式と捉えられます。

再現部の後に、大きな終止を含む幾分大振りな終結部が置かれています。

この終結部も第一主題から開始されますから、

ロンドソナタ形式として納得できる構成と言えるでしょう。

二度にわたるフェルマータによる停止をも盛り込んだ大規模な終結部が、

第4楽章のみならず全曲に対する終結部として作用して、

全4楽章の交響曲が幕を閉じます。

ベートーヴェン流の四部構成ソナタ形式(提示部・展開部・再現部・終結部)が、

いよいよ完成の域に達してきたことが伺われます。

 

写真:モントゥ―指揮&北ドイツ放送交響楽団盤(LP)

 

明日は、第3番を探訪します。

いよいよベートーヴェンの個性と独創性が炸裂していきます。

「刑事コロンボ」の各作品の紹介を再開します。
今日は新旧シリーズの紹介を通算して62作目となります。
旧シリーズからの順番に直すと第38話にあたります。

私はほぼ全作品の日本初放映を見てきたので、
懐かしく想い出しながら記事をアップしています。

今回は第6シーズンの開幕作となった
「ルーサン警部の犯罪」です。

DVD「ルーサン警部の犯罪」

###刑事コロンボDVDコレクション vol.62###
         旧シリーズ第38作
       「ルーサン警部の犯罪」

監督=バーナード・L・コワルスキー
脚本=ルー・ショウ/ピーター・フェイブルマン
原案=ヘンリー・ガルソン
製作=エヴァレット・チャンバース
撮影=ミルトン・R・クラスナー
音楽=ベルナルド・セガール
出演:
ピーター・フォーク(刑事コロンボ)
ウィリアム・シャトナー(フォード・ファウラー役)
ローラ・オルブライト(クレア・デイリー役)
バート・レムゼン(マーク・デイヴィス役)
ウォルター・コーニック(ジョンソン刑事役) 他

隔週刊「刑事コロンボ」vol.62

第6シーズンの開幕作と主演には、
人気TVシリーズ「スター・トレック」の
"カーク船長"でスターダムの登った名優、
ウィリアム・シャトナーの登場です。
殺害される悲劇のヒロイン役には、
同じく人気TVシリーズ「ピーター・ガン」に
レギュラー出演していたローラ・オルブライトが、
起用されています。
なかなか洒落たキャスティングです。

この作品は、時計を用いた偽装工作の不自然さや、
編集の段階でのカットの前後入れ替え等により、
矛盾したところが散見され、やや難解な印象を覚えます。
しかし、ウィリアム・シャトナーの
饒舌なまでに堂々たる犯人役を演じる演技が、
どこか明るいイメージを生み出しています。

YouTube / 刑事コロンボ コンプリート ブルーレイBOX
          トレーラー

二十絃箏誕生40周年記念作品〜《糸の書》〜二十絃箏と邦楽器合奏の為の協奏曲〜

 

邦楽器作品の創作と邦楽器演奏界の更なる振興を
ライフワークの柱に据えている私です。
このところ、自作邦楽器作品の紹介を続けています。

###《糸の書〜 二十絃箏と邦楽器群の為の協奏曲》(2010)###
    日本音楽集団委嘱作品(二十絃箏誕生40周年記念)

演奏時間:約16分
初演:2010年1月/津田ホール

   《日本音楽集団定期演奏会》

   2010年3月/洗足学園音楽大学 前田ホール
   日本現代音楽教会 《現代の音楽展2010》
   第1夜〘箏フェスタ〙
演奏:指揮=松尾祐孝 二十絃箏=吉村七重
   邦楽器アンサンブル:日本音楽集団

2009年度は、二十絃箏誕生から40周年の節目と年でした。
現在の二十絃箏のトップリーダーである吉村七重さんとの
協働プロジェクトとして、私はこの年度に二つの大作=
二十絃箏を主人公とした協奏曲作品を発表することができました。
その一つがこの作品です。
もう1曲は、[フォノスフェールⅣ-a~二十絃箏と管弦楽の為に] です。

主人公である二十絃箏の持つ幅広い表現力を、

個性豊かな楽器の集合体である邦楽器合奏との対照や融合の下に際立たせ、

糸の紡ぐ空間の書のような時空の生成を意図した作品となりました。

上述の [フォノスフェールⅣ-a~二十絃箏と管弦楽の為に] と独奏パートの

相当部分を共有する姉妹作となっています。

また、題名は《琵琶の書〜琵琶と弦楽の為に》(2008)との関連性を示唆しています。

素晴らしい伝統楽器の宝庫、日本に生まれたことに感謝しつつ筆を進めた作品です。

 

尚、この作品の動画は、洗足学園音楽大学公式HP内で視聴可能です。

このページの中段に動画がリンクされています。

 

 

  日本現代音楽教会 《現代の音楽展2010》プログラム表紙

 

それから、2回の初演の間に吉村七重さんのダブル受賞=
「朝日現代音楽賞」と「芸術選奨」の受賞決定が
相次いで関係各方面から発表され、
二十絃箏誕生40周年の記念年度の最後を飾るに相応しい、
晴れがましい雰囲気の公演になったことの巡り合わせにも、
感謝しています。

写真は、二十絃箏誕生40周年と吉村七重さんの
ダブル受賞に乾杯!
ということで、キール・ロワイヤルを1杯。
場所はパリのテアトル広場のカフェです。
 
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20110204/00/phonosphere/67/04/j/o0800106711025033708.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20110204/00/phonosphere/67/04/j/t02200293_0800106711025033708.jpg" alt="$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-キール・ロワイヤル" width="220" height="293" border="0"></a>
 

今年も猛暑日や酷暑日に多く見舞われた夏でした。

 

そんな中、とある午後に、仕事の打ち合わせを兼ねて、

 

都心の某ホテルのラウンジで、

 

涼やかなアフタヌーンティーを楽しみました。

 

 

注)揚げ出し豆腐のようのも見える四角い塊は、

フレンチトーストです(笑)!

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第204巻の紹介です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

飯田線に投入するためにED61形を軽軸重に改造して登場となったED62形の、

JR発足後に一両だけJR貨物の塗装をまとった姿をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第204巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

ED61形総勢18両は全機がED62形に改造されて飯田線に導入されました。

晩年は大糸線などでも活躍した後、2002年までに全機廃車となりました。

 

 

次のページは、銚子電鉄デハ800形の特集です。

戦後の復興期から伊予鉄道で活躍した後、昭和末期に移籍してきたデハ800形は、

典型的な地方鉄道16m級電車の佇まいが人気を博しました。

現在は引退したものの、外川駅構内に保存され、内部は資料館になっています。

 

 

更にページをめくると、今度は近代的な車両の写真が目に飛び込みます。

JR四国の徳島エリアの地域輸送向けに開発された1500形気動車の特集です。

都市近郊非電化区間のサービスアップのために開発された車両で、

搭載エンジンには環境対策が、内装にはバリアフリーが施された

現代的な気動車として、34両が製造されて活躍中です。

 

 

「日本の鉄道の歴史」シリーズは、松浦鉄道の特集です。

佐賀県有田と長崎県佐世保という松浦半島の付け根の二つの町を起終点に、

半島外周の主要部を巡る松浦鉄道西九州線は、嘗ての国鉄松浦線を引き継いだ

第三セクター鉄道です。その開業時には、列車本数や駅数を大幅に増やす

積極策を展開して注目され、開業後12年間の黒字経営を続けたことも話題になりました。

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、JR九州の"100年の時を越えて甦った「幻の豪華列車]

というコンセプトで登場した"或る列車"の特集です。

明治期に九州の鉄道網の基礎を築いた「九州鉄道」が、

アメリカ製の豪華客車を使用した列車を計画していたものの、

国有化の波に呑まれて実現しませんでした。

その幻の「或る列車」を現代に甦らせた列車という訳です。

デザインは例によって水戸岡鋭治氏によるもので、

列車全体が金細工のように輝いています。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。

 

 

2020年は、楽聖=ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの

生誕250年にあたりました。

小学校高学年の頃からオーケストラを聴くことに強い興味を持つようになった私に

とって、ベートーヴェンの交響曲の交響曲全曲を聴くことが先ず最初の目標でした。

カラヤン指揮:ベルリン・フィルの来日演奏会で、ベートーヴェンの田園と第5

というプログラムを聴いた時の情景は、まだ脳裏に鮮明に残っています。

それでは、今日から9曲の交響曲を番号順に探訪していきましょう。

 

写真:第1番&第2番 ホグウッド指揮&アカデミー・オブ・エンシェント盤(CD)

 

初回は《交響曲第1番ハ長調》をご案内します。上の写真は

私の愛聴盤、ホグウッド指揮 / アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック

による演奏による、第1番と第2番のカップリングです。

 

###ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン###
        (1770-1827)
     交響曲第1番 ハ長調 作品21

初演:1800年4月2日
   ウィーン/ブルク劇場

交響曲第1番は、ベートーヴェン自身の指揮で初演されました。

全曲の演奏時間は30分弱の規模ですから、

ハイドンやモーツァルトの交響曲の規模をほぼ同じですし、

全体を聴いた印象も高雅な古典派という印象に範疇に留まりうる音楽です。

しかし、随所にベートーヴェンならではの創意工夫(=新機軸)を

見出すことができます。

第1楽章は、先ず冒頭から意表を突かれます。

何と、IV度の和音(下属和音)を主和音に見立てたドミナントから始まって、

寄り道をしながら主調のハ長調を納得させるような序奏から始まるのです。

そして(ソーラシドレミファ#ソーーーソファミレド〜)と

ソナタ形式の主部が繋がります。

第一主題は(ドーーソーシドーーソーシドドソシドドソシド・ミ・ソ・シ・ド~)

と始まります。クラシック音楽ファンの方ならば、モーツァルトの最後の交響曲、

第41番「ジュピター」の第1楽章の第一主題(ドーーーソーラシドーソラシド〜)

との近似性にお気付きのことでしょう。

上行形主体の第一主題と下行形主体の第二主題が提示される提示部から

定型通りの繰り返しを経て、ハイドンやモーツァルトよりもやや長い展開部を経て

再現部に突入して、更に楽章を締めくくる部分の終結部が幾分拡大した構成を示す

ソナタ形式を扱いによって楽章を閉じます。

 

第2楽章は、へ長調で基本的に穏やかな音楽です。

ソナタ形式の構成に乗せた緩徐楽章となっています。

各主題に第一楽章の各主題との近似性を見出すことができます。

 

第3楽章はハ長調で、メヌエットと表記されていますが、

実質的にはスケルツォと考えて良さそうです。

早めのテンポで全曲の中でスパイスのような存在感があります。

古典組曲の時代のトリオ付メヌエットの定型通りの構成になっていますが、

独特の強弱の交錯などにベートーヴェンの個性が色濃く反映されています。

この楽章の各主題にも、第1楽章や第2楽章の各主題との近似性が感じられます。

 

第4楽章もハ長調で、ソナタ形式による終楽章です。

短い序奏で(ソラシ・・・ソラシド・・・ソラシドレ・・・ソラシドレミ・・・

ソラシドレミファーー・・・)と導入されて、

第一主題(・ソラシドレミファソ・ソ・ミード・ド・レ・レ・ミレドレミーー〜)

と走り出す爽快な音楽が開始されます。

展開部の前半で第一主題が強調されるように発展することから、

ロンド形式にも近い側面を持つこの楽章は、

ロンドソナタ形式と呼べるかもしれません。

再現部の後に、大きな停止を含む幾分大振りな終結部が置かれています。

ベートーヴェン流の四部構成ソナタ形式(提示部・展開部・再現部・終結部)が、

既にこの第1番から確立していたことがよく判ります。

 

写真:モントゥ―指揮&北ドイツ放送交響楽団盤(LP)

 

明日は、第2番を探訪します。

珍しい企画、音具に焦点を当てたワークショップのお知らせです。

 

洗足学園音楽大学 現代邦楽コース&大学院器楽専攻(和楽器) / 現代邦楽研究所

の特別授業として実施しますが、一般の方の聴講も受け入れます。

 

一般の方は事前申し込みが必要ですので、下記チラシ画面の最下段に記載されている

二つの連絡先のどちらかに、氏名と連絡先を添えてお申込みください。

尚、申し込み多数の場合はご希望に添えない場合もあることをご承知おきください。

 

 

この特別授業は、現代邦楽コースの統括教授でもあるこのブログの筆者=松尾祐孝が、

近年は(一社)日本木文化学会の代表理事を務めるなど、世界の楽器を、そして音楽を、

木の文化としても捉える活動を展開している中で、持ち上がった企画です。

 

10月12日(土)開催予定の外部コンサート《音具百万石〜打つ悦び、擦る愉しみ〜》との

協同企画でもあり、気鋭の打楽器奏者のお二人、新野将之さん、齋藤綾乃さんが、

ワークショップリーダーを担当されます。

貴重な音具の数々を提供してくださるのは、茂手木潔子さんです。

 

人類が、木や竹、あるいは石や金属など、あらゆる材料を工夫して、

何らかの音を発することを思いつき、

それがやがて音具や楽器に発展していったことに想いを馳せながら、

音を音楽に紡いでいくという言語にも匹敵する能力を身につけたことの素晴らしさを感じながら、

このワークショップをお楽しみいただければ幸いです。

 

 

「刑事コロンボ」の各作品の紹介を続けてます。
旧シリーズからの順番に直すと第37話にあたります。

私はほぼ全作品の日本初放映を見てきたので、
懐かしく想い出しながら記事をアップしています。

今回は第5シーズンの最終回となった「さらば提督」です。

DVD「さらば提督」

###刑事コロンボDVDコレクション vol.61###
        旧シリーズ第37作
        「さらば提督」

監督=パトリック・マクグーハン
脚本=ジャクソン・ギリス
製作=エヴァレット・チャンバース
撮影=ウフィリア・クロンジャガー
音楽=ベルナルド・セガール
出演:
ピーター・フォーク(刑事コロンボ)
ロバート・ヴォーン(チャーリー・クレイ役)
ウィルフレッド・ハイド=ホワイト(ケタリング弁護士)
ジョン・デナー(オースティン・スワンソン提督役)
ダイアン・ベイカー(ジョアナ・クレイ) 他

隔週刊「刑事コロンボ」vol.61

第29話「歌声が消えた海」で好演したロバート・ヴォーン
が再登場している、この「さらば提督」です。

共に海と船にまつわるストーリーになっています。
序盤から殺人現場を示唆する映像が記憶に残りますが、
実はそれが・・・

流石のコロンボも真犯人も目星を見誤ってしまったという、
珍しい展開の"倒叙"になっている作品です。

名優でありまた名監督でもある
パトリック・マクグーハンの演出によって、
いつになくエキセントリックなコロンボが
平素と一味異る雰囲気の作品に仕立てています。

YouTube / 刑事コロンボ コンプリート ブルーレイBOX
          トレーラー


この「さらば提督」を最終回として
「刑事コロンボ」シリーズは、5シーズンをもって
幕を閉じる予定だったそうです。
しかし、安定した人気の看板番組ということで、
更に第6シーズンが製作されることになったのでした。

そのような次第で、この記事シリーズも
まだまだ続きます。