一枚の絵を飾る | ファイテンルームスタッフブログ

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バロック時代と呼ばれる頃、絵画の世界で強烈な陰影をつけて、あるポイントだけに光を当てのたかの様に見せる技法が使われ始めます。→「バロック絵画」


「カラヴァッジョ」という画家が発明したとも言われています。


この絵画技法を美術館の解説などで見ると「スポットライト効果」と書かれたりしています。

(当時はキアロスクーロ技法と呼ばれていました。)


もちろん当時は、電気の発明まで数百年待たなければいけない時代でしたので、彼らは照明器具を知る事もなく、むろん名付けた訳でもなく、現代の批評家の誰かがまるでスポットライトに照らされているかの様な表現方法ということで、使いだしたであろう事は想像できます。


この技法を単なる観賞用で終わらせず、3次元の世界で表現したいと心底思い続けた人々がいました。


バロックの時代に光の強弱によって目立たせたい対象が、ドラマティックにアピールできる事を2次元の中で証明しました。


しかし、電気ランプの無い時代に、小さな穴から朝の光を当てる仕組みでは制約(時間、場所)が多すぎる…。


大量の蝋燭(ロウソク)を使っても物足りない。

そんな事を試行錯誤しながら、まったくの空想の光を…

新しい価値の伝達能力を…

具体化する試みを続けてきました。


その人々は商業を営む人たちでした。


バロックの時代から、産業革命をえて電気ランプが生まれるまで、みんな指をくわえて200年以上、待ち続けたことになります。


スポットライトが生まれ(電球に傘がついた程度ですが…)、ようやく商人の夢がかないました。


路に面した陽のあたる場所だけでしか、商いができなかった時代から、建物の奥でも商品が光り輝き、劇的に価値の伝達ができるようになりました。

もちろん、太陽が沈んだ夜でも。


その時から、大型商業施設が生まれます。

「ブライツライツシティ」と呼ばれる大商業都市によって、国家形体すら変わっていきます。


数百年前、バロック時代の画家が空想した技術を機械仕掛けで可能にした時代の流れは、その機械仕掛けによって今、バロック絵画を美術館で照らしています。


スポットライトは今では住宅でも使われ始めています。

大切な物、買ったばかりの絵などに光を当てる時、バロック画家の思いに浸ってみてはいかがでしょうか。