「あなたを忘れない」という映画が話題を呼んでいる。この映画の公式サイトは「http://www.korea-japan.jp/ 」だ。

あれっ、と思った人はいないだろうか。それとも、このURLに、何か作為的なものを感じたのは私だけだろうか?普通、このような公式サイトには、映画のタイトルを連想しやすいような文字列を選ぶものだ。それはSEO対策という意味でもあるし、ユーザビリティという点でも当然の発想である。今から何年かたって、いや、今の時点で、「あなたを忘れない」という映画の公式サイトの URL を想像できる人が何人いるか。

この映画は、日韓共同で作ったということになっている。マスコミの報道をみても、何も知らなければ、国境を越えた友情云々、というようなテーマの映画のように見えるはずだ。だから、こういうURLになっているのだろう。ただ、話題になっているのは、日韓共同制作だからという意味においてではない。

この映画の監督は、新聞記事のインタビューにこんなことを言っている(もっとも、新聞記事がインタビューしたときの言葉を正しく伝えたとして、だが)。


表現の自由はあるにしても人を容易に傷つけるネットは怖い。メディアのプロとしてどう対応するか考えていかねばならない


この映画が話題になっているというのは、実は、これが日韓共同制作なのに反日的な内容だという批判の声が多数出てきたからななのだ。

この映画は、2001年に新大久保駅でホームに落ちた男性を助けようとした韓国人がいたという話を元にして創造したフィクションだ。報道でも「ドキュメンタリーではない」と明言してあったし、フィクションであるということは明白な事実である。

私はこの映画をまだ見ていないのだが、具体的にどう反日的だという批判が多数あるにもかかわらず、それに対する筋の通った反論は一切見たことがない。例えば、天皇陛下が見た映画なのだから批判してはいけないとか、日韓友好のための映画なのだから批判するなとか、そういう反論は見たような気がするが、理由はこれこれで、だから反日的という批判は的外れだ、というような論理に基づいた批判は記憶にないのだ。だから、ネットを見ただけで判断すれば、これは反日的映画なのだろう、と思い込むことになる。まあ実際どうなのかは知らないが。

(つづく)