まあ今更僕がこんなところでお勧めするまでもないような御方ですが。

 

我が国の国民的ロックバンドであるB'z(ニートと同じ発音)のギタリスト、松本孝弘氏による2002年発売のソロアルバム。

 

タイトル『華』。

 

美しき。

 

 

僕がこの人を好きなのはアルバムジャケットのデザインだったりタイトルのネーミングだったりファッションだったりのセンス的な部分もそうなのですが、何よりも日本人であることに誇りを持ち、その心を大切にしているところ。

 

それは和の香りをコンセプトとしたこのアルバムに限らずギターの音色を聴けば一目瞭然で、ハードロックギタリストでありながら音数は控えめに、間(余白)を生かし、一音一音に心を込めて弾くスタイル。

 

そりゃあメタル小僧受けするような早弾きや派手なプレイもそれなりに見せますが、この人の本領はそこではございません。

ルーツはハードロック、ブルース、ジャズにありながらもマイケル・シェンカーやゲイリー・ムーアのクローンには決して収まらない稀有な存在。

その個性の正体は純邦楽、雅楽からの影響にあるのではないかと思うのです。

 

欧米で生まれたハードロックというジャンルに生き、間を埋める派手で攻撃的な海外のプレイヤーたちの技を目の当たりにしながらもそれに流されず、古来より日本人の持つ性質を生かし日本人ならではの表現を追及する。

 

その精神に僕は恐ろしいほど共感するのです。

 

 

『華』は松本氏の日本人表現者としての面がわかりやすく具現化された作品。

ハードロック要素は皆無。全編バラード。楽器に心を乗せることのできない者には許されぬ所業。しかしこの人には許される所業。

 

なぜ許されるか?聞くな。

 

聴け。