ピエール・マルコリーニ マルコリーニ シンプル チョコレートに驚く話です。
驚くほどに濃厚なココアです。
スプーンですくって飲むのが正しい飲み方。
しかしそれゆえに凄さをみせてくれるのです。
その味わいはどこまでも逞しく、甘味もしっかりとコクを作りながらも、何と言ってもいくらか固さも覚えるような苦味と酸味の切れ味鋭い性格が圧巻です。
これほど味が太く、そしてシャープなココアというものを他には知りません。
肩の張らない柔のジャン＝ポール・エヴァンに対し、その技術を突きつけんとばかりのピエール・マルコリーニという印象です。
しかしその最大の魅力が、スプーンにあるのです。
正直、食事に対する概念がぐらつきました。
新しい感性が生まれました。
このココアですが、表面部分は熱でいくらかその味わいを詰まらせ、酸味をよりシャープに仕上げていくのですが、これがスプーンと完全に調和するのです。
なんのこと？ って思う方も多いと思います。
しかし飲んで頂けば・・・、いや食べて頂けば全ての答えがそこにあるのです。
金属製スプーンの金っ気が、ココアの酸味に完全に調和するのです。
スプーンの材質が異なっていたら、このココアは成立しません。
スプーンが口に触れた時に感じる金属の味わい、舌触りと、ココアの風合いをいかに調和させるかが、このココアの主題だったのだと確信してしまいました。
飲み手の思いすごしと99%の読者の方が思うことを百も承知で断言しましょう。
このスプーンなくしてこのココアは完成しません！
仮に作り手はそこまで意識していなかったとしても、それは優れた感性が無意識に導いた結果であり、偶然ではなく必然中の必然たる内容なのです。
この圧倒的な個性を体感しない手はありません。
ピエールマルコリーニのココア・・・、正しくはシンプルチョコレート、是非とも飲んで・・・、いや食べてください！！