♂鈴木日美の食べログほどもないスイーツランキング


カカオ分85%。ダーク好きのための究極の味わい。

口どけの中でいくらか排他的なカカオの酸味が感じられ、苦味はややドライに、そして後味に向けて確実な粒子感によってそのカカオの木の実らしい逞しい枯れ感を主張します。


固さはカレの中でも一番なのですが、口どけに加速を覚える点が見事。
口どけが一瞬遅そうに感じられるも、そこから完全に溶けて消えてしまう直前までに向けて一気に溶けていくようであります。


余韻にみせるカカオのしっかりした逞しき苦味も素晴らしいですね。
他のラインナップに比べると苦味や酸味に厚みはみられません。
いくらか明治製菓の86%に近い酸味の個性にも思えますが、流石はゴディバです。
そのいくらかの人工的、薬品めいた風合いにも、しっかりとした野性味と迷いのない貫録を覚えさせられます。


しかし素材の凄身を突きつけるという強靭な魅力を持ってはいますが、それがいくらか過剰にも思えるのは悔やまれるところ。


旨味の太さが素材のむきだされた個性に及ばなかったようにも思えてしまうのです。
さらには風味の輪郭の表情までもを感じさせようとする姿勢が、その逞しさが生み出すいくらかの荒々しさによって、ゴディバの得意とする滑らかさを削りとってしまったかのような印象もみられます。


調和という点からすれば、基本のカレの中では一番見劣りする作品かもしれません。


しかしそのハイライトが余韻であることはお忘れなく。
カカオの苦味を粒子の大きさを保ちながら長く存在させ、味だけでなく香りによっても、鼻を舌をくすぐります。
少し体に酔いが回るような、風味の流れに身を吸い込まれ、意識を飛ばしてくれるような感じが味わえます。
カカオの持つ陶酔感がしっかりと表現できているのです。
流石はカカオ高配合の力強さです。

そしてその個性を見事に開放したショコラティエの実力と努力にうならされる瞬間でもあります。


満足度は他のラインの完成度ゆえにやや低めではありますが、納得できること間違いなし。


小売りでラインナップされないお店も多いことが残念ですが、それでも世に多く広がるカカオ高配合率の作品と比べて、なんと無駄のない、そして雑味、排他性の少ない作品なのでしょうか・・・。


特に香りにおけるカカオの質感にコクが溢れる重厚にして密度ある香りは見事です。
粉っぽい風合いで苦味を表現してしまう安価品・・・、いや日常の延長程度の高級品レベルとは差を感じさせます。


説得力を堪能させられますね。


ちなみのその口どけの過程における風味の展開の豊かさにおいて、同シリーズの72%や50%よりも舌に格付けしてはいますが、噛んで食べてしまうのであれば、この作品が最高だと思います。
カカオの旨みにしっかりコクを感じ、後味を抜けた後に残るカカオのフレーバーの発散性、粒子感を伴う凛としたその性格に、素材の持つポテンシャルの高さを突きつけられます。


苦味もネバッとしたに絡みながら、ギリギリの排他性の中で貫録を感じさせてくるのです。

勿体ないけど、ちょっと噛んで食べてみてほしいなあとも思ってしまいます。
そして後味の後味の後味くらいに一瞬みせるギリギリ液化したチョコレートの濃密なカカオ感は、ピエール・マルコリーニなどで味わうチョコレートドリンクにも似た力強さ・・・。

この一瞬を味わうためだけにも、仕事をがんばれますってくらいの、内容です。


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