口当たりにはチョコレートが一体的な風味から生み出すパワフルな個性が感じられます。
隠れてミルク的な風合いが滑らかに感じられ、少し強引さに自制をかけるも、爆発の危険性をはらんだ内面の情熱性を高く保持する味が、喜ばしく表現されています。
この個性が中盤でさらに有能で豊かな表情を生み出し、ベルジャンチョコレートチャンクフレーバーを思わすようなミルク分とチョコレート分の交わりの妙を覚えるのです。
惜しむらくは後味に感じるチョコレートの風味が、すこしチョコレートミントあるいはチョコレート地プに見られるようなハーブ系とも思えつつも人工的な酸味であること。
しかしどっしりしてコクと香りを残すという、強気な性格を明快にした攻めの味の構築、そして骨太の世界観にはシーズンフレーバー、そしてここ数カ月のフレーバーオブザマンスらしい逞しさ全開の魅力を覚えます。
特に苦みと酸味の差し込み方に骨があり、ここには心酔するところ。
さらには余韻も素晴らしい！
チョコレートの美しい味わいの優雅さを強引に表現するという暴力的にして甘美な世界。
ナチュラルさに欠けるとはいえ、安易な作りこみにも、素材のチープさをも感じさせることはありません。
ガナッシュケーキもトフィー入りチョコレートケーキも十二分に小さくなったために嫌味な存在とはならず、時折舌にザラッとした甘味を滲ませるアクセサリー的存在となります。異物感にも思えつつも、それがむしろ心地よいものに。
まったくもってチョコレート好きの期待にこたえる内容であります！