チーズの癖は意外と感じます。
口当たりからミルクの癖のある表情・・・それがチーズたるところですが、フレッシュチーズやナチュラルチーズよりも、多少チェダー系の個性も感じるような腰にひねりのある、黄色っぽい味わいが特徴でありながら、ヨーグルト的なうすら酸味を帯びているために、なかなかつかみどころのない味わいとなっています。すっきりする味とは思えませんね。
少しぬるっとしたその性格は、舌触りに圧倒的ななめらかさを持つタイプではないがゆえの、重さがあり、味そのものは上空に広がるタイプでありながら爽快感を覚えさせない弱みが見えて取れます。
その酸味の正体は、このチーズアイスクリームが実はストロベリーチーズアイスクリームだからによるところであります。、ストロベリーをところどころに内包してもいるのですが、その魅力は色彩によるところにのみ感じられ、味としてはいかがなものでしょうか？
どうもこの作品においてはチーズの味わいと、ストロベリーの酸味が調和しないように感じるんですね。この調和の乱れ方にはチョコレートも関わっているのでしょうか・・・、どうなんでしょ、ちょっと頂けません。
しかしチーズケーキピースの存在は、見事！
この欠点を軽く消し去るほどのポテンシャルを発揮します。
実においしい！
チーズケーキピースのもつチーズのしっかりしたコクのある味わいと、あの甘く香ばしいタルト系の味を含む硬質のスポンジ生地のような個性が、完璧にこのベースアイスクリームに調和します。うすらぼけた味ではないことも重要ですね。これも勝因でしょう。
ほろ苦い風味が、最高に生かされていますね。
あまり好ましいとは思えなかったアイスクリームのテイストにぐっと引きしまった味わいを作り上げ、計算の粋と度おいた立体的な風味を生みだす様子は、本当にため息ものですよ。
このチーズケーキピースの存在で、アイスクリームの癖はむしろひねりのある個性として、アクセント的な喜びを生みだすものとなります。
風味中央にしっかりとしたコクを作り、完全に主役としてその存在を示します。それゆえにチョコレートやアイスクリームの風味を上下に分け、豊かな味わいを創出するのです。
その低域に活躍の場を見せるチョコチップは口どけはスピードはないものの、ぐにーっと感じるようにその硬度を粘性を高めつつも低くしていくという感じの個性がみられます。その溶け行く過程に少し曇った甘味を感じさせるため、口当たりからの甘味を強く覚えるのですが、しかしその個性が液化完了すると同時にかなりビシッと引き締まった苦みを主張するというところが面白いところ。二面性の強いテイストと言えます。
恋におちるという名のフレーバーです。
その恋は、ファーストインパクトでやられるものではなく、付き合いを深めるたびにその魅力のとりこになっていくような成熟した恋愛を示すもの。
大人のバレンタインデーにふさわしいフレーバーですね。