一口目の印象では、少し酸味が見えるもその質感はやや淡白に感じられるかもしれませんが、実際には油脂感すら覚える粘りある食感と、生地の圧力感、そして低域で展開しがちな味わいの癖から、一口ごとに淡白さとは無縁の重さを残していきます。
甘味の中に少しきなこ系の渋甘い感じがみられますが、これもクルミのクリーミーな甘みが生み出した個性なのでしょうね。
ナッツの味は、ナッツそのものだけでなく、クリームにもその味わいをしっかりと染み込ませています。またベースのクリームそのものは華やか系のコクや旨みを持たされていないために、主役となるべき存在画わかりにくい風味の構成となっているようにも思えます。
相対的にナッツの味わいはその目立つべきでない個性までもが誰かの裏方に努めることなく前に出てしまうきらいがみられます。
垢ぬけた味わいや、スイーツらしい快活な性格は最後まで見えず、まあ素直に表現すればクルミの生ぬるい甘さが前面に出たような味わいであるといえましょう。本場アメリカにはココナッツフレーバーもあるのですが、その代用品かと思わせるかのような一癖入った甘みの質感であります。しかしココナッツと同系のぬっくりした甘味を持ってはいますが、ココナッツの個性を感じるものではありません・・・って、まあ当然か。ココナッツは入ってはいないんですから。
口どけ感はそれほど滑らかではありません。油脂を感じるかのようなべた付く食感は、その口どけの遅さから重さを感じるものの、生地のキメ自体は滑らかであり、持続的に口どけ感を楽しめるものであります。むしろこれがこのフレーバーの魅力なんでしょう。一方ではクレープなどではこの個性を生かすチャンスは多く、使い勝手はよいとも思えます。
全体的に強い癖を感じるフレーバーですが、しっとりと渋皮までも含むナッツの味わいを楽しみたいというのであれば好ましい味わいです。また湯で落花生が好きという方には好まれそうな作品とも思われますので、意外に熱狂的ファンを有するのかもしれません。
何といっても選ばれしスタンダードフレーバーの一つですからね！
作り手の思い入れや狙いが伝わる、方向性がある程度明確に感じられるのは良いところです。
当方がイメージする味わいの構成美という点ではいくらかバランスがどこかに傾倒しすぎた感は否めず、なかなか良い点にできないのですが、購入頻度でいうと実はラムレーズン、ロッキーロードに準ずるくらいの実力の持ち主です。
「美味いとは言わないけど、俺は好きだよ」という、舌に自信がないために、せっかくの好きなメニューを言い訳じみた台詞でしか紹介できない、自称グルメな職場の同僚みたいなコメントでお茶を濁したいのですが、どうでしょうか？
ちなみにコーンで頂くとコーンの甘みが少し安っぽい華やかさを持ち、ナッツトゥユーの良い部分を塗りつぶしてしまうように感じます。ここはカップがお薦めです。