３１のシェイクはこれ以上ないほどの柔らかな口当たりが魅力です。
その質感はミルキーというよりもクリーミーとも言うべきもので、肉屋のシェイクとの差を完全に見せ付けてくれます。
一方では肉屋のシェイクのソフトアイスクリームにミルクと氷を入れてミキサーかけました系の食感がもつシャリシャリした微小な氷がないことでやや単調な食感となることが残念ではあるのですが、良質をキープできるが故の単調さは最高の評価にも値するもの。
目指すところの違いはあれど、好みで減点できるものではありません。
その生クリームのような風合いから立ち上がる甘味も、艶めかしくも緩やかで穏やかなタッチであり、これは絶品としか言いようのないものであります。
バニラアイスクリームの特徴である少し荒々しいナッティーな感じを含んだクリーミーさよりもむしろストロベリーアイスクリームのようなぺたっと塗りつぶされたように整ったまとまり具合をその性格とし、実際のところその甘みの感じはストロベリーアイスクリームの内包する甘味に良く似た味わいでもあります。
この甘味の質感が後味において、中盤から緩やかにふくらみをみせた甘味のさらに内側からほっこり感じられるのです。
余韻にコクの太さと、すこしべたつく感じもみられ、これが持続するのですが、この粘性のタッチが軽さを持っており、くどさとしては感じさせません。
味の展開が単調でありながら、その透明感の高い風味と、雑味のなさは素晴らしいといえる個性。
シェイクの温度は他店のよりも少し高めに感じられる３１でありますが、それも素材の質の高さを主張しようとする魂胆が見え隠れするようにも思える気も・・・。
これは高く評価せざるを得ませんね。
ミスタードーナツのシェイクが、シェイクの魅力となる部分に集中的にスポットを当てて作り上げたものであるのに対し、３１は優等生的な味わいです。
むしろアイスクリームの一つの表現手法としてのラインナップであり、アイスクリームを超えるものをシェイクで表現しようという意識は感じません。
そういう意味では何というか、良くできているけどがむしゃら感がないんですね。
無理のない自然体な姿勢が魅力的ともいえますが、少し遊び心に欠けるというか・・・、それがちょっと不満かなあ。
でも、これをすっごく美味しく飲む方法が実は・・・（笑）。