先に書いておくが、私は士郎正宗氏の作品は好きだし、彼を尊敬もしている。アニメ化される作品はいつも楽しみにして見ている。しかし、コミック(本)となると話が違ってしまう。これまで何度か読み終えようとしてトライしたが返り討ちに遭って来た。こんなことは、ドストエフスキーの『罪と罰』以来の事だ。『罪と罰』はその重さと微細すぎるといってよい心理描写に耐えられなかった。して、『攻殻機動隊』については、未来テクノロジーや思想性に対する微細な注釈について行けなかった。もともと弱いジャンルである。だから注釈にしがみ付いてしまう。コミックを読み進める上で必要な未来テクノロジーの詳細についてはその漫画のコマ内で説明されるが、細かい部分もついてはコマの外に置いて注釈という形で説明されている。それを本編を追いながら注釈にも目を向け、そして本編へと戻る。という行為をぐるぐると繰り返している内に、本編の内容がわからなくなり、少し前に戻って読み返す・・・。というようなことを繰り返している内に疲れ切ってしまい、読書を放棄してしまう。
 私がせめて30、和えだったなら、充実した気力と体力で強引に読み進むことができただろうが、すでに老年となってきている私の薄い体力では無理になって来てしまって居るのだ。
 時には、細かい部分に拘らず、注釈を無視して読み進めようとしたが、無理だった。それでは、いっそのことセクスィーなアンドロイド(でいいのかな?)だけを眺めて楽しもうと思っても見たが、中味が分からないままでは楽しめるものではなかったので止めた。
 そんなこんなで、今までに年度も何度も、挫折を繰り返してきた。ラスコーリニコフは超訳が出ているので、もしかしたら、今後完読できるかもしれない。でも『攻殻機動隊』については、もう、諦めてしまったのだ。