二十数年前、私が古本の買取をしていた時、夜の7時過ぎにひとりの女性が本を売りにやって来た。21~2歳位の美人で、10冊ほど持ち込んでくれたと思う。その中にこの2冊(町田ひらく著「きんしされたあそび」と「幻覚小節」)があった。その頃私は町田ひらくの存在を知らなかったので、普通に「女性のマンガだろう」と思い普通に購入。他には何を持ち込まれたか忘れたが、文学系の毛並みの良い本だったことは覚えている。
 驚いたのはその翌日。改めて本を見返して居た時の事。町田ひらくの2冊を見たら、これがロリ系のエッチマンガだと知ってショックを覚えた。あの美人がこーいふマンガを読んでいるのかと驚いたのだ。しかし、中味を読み始めたら、何となく彼女がどうしてこのマンガを読んでいたのか、わかる気がして来た。表向きは、ロリエロ漫画で間違いはないのだが、その中には文学的なエピソードが散りばめられていて、私小説の雰囲気を漂わせているのだ。「これは普通のエロ漫画ではない!」と思い、改めて昨日の美人の審美眼に感服し、思いを馳せたものである。
 そんな美人の彼女も今は40うん歳のおばちゃん。お子さんも居ることだろう。・・時の流れを感じてしまう今日この頃。 

 今は私も町田作品を10作くらい揃えている。