横尾忠則

 この絵画は横尾忠則さんが1973年に描いた『昭和新山より洞爺湖と羊蹄を望む』です。雑誌「芸術生活」で「日本原景旅行」という連載のために描かれたものです。
 昭和新山とその周辺は、道央圏に住んでいる人ならそのほとんどが訪問したことがある、非常になじみ深い観光スポットですが、この絵のようなちょっとおどろおどろした風景として捉える人はまずいないのではないか、と思います。さすがは横尾忠則、と唸ります。
 この「日本原景旅行」シリーズでは、桜島が地球誕生時の時のような、荒涼とした風景でありながらエネルギーに満ちあふれた世界として捉えられていたり、那智滝がさながら地獄にあるかのような表現だったり、東尋坊には蒼い光の玉が浮かんでいたり、果ては松島には素っ裸の外人娘が居たりと、横尾さんでなければ描けない、また、描いたとしても認められないような作品ばかりでした。
「日本原景旅行」の作品を掲載している本は今刊行されていないのですが、ここにその一部があります。横尾忠則全絵画