探偵スルース

  舞台は主人公の一人の推理作家の邸宅だけだし(それも庭まで)、出演者はローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの二人のみ。綺麗な女性が出てくる訳でなく色気も素っ気もなし、当然派手な演出や小道具も存在しない。しかぁし、この極めて地味な状況の中で、名優二人の演技と会話のみで、飽きさせず、類まれなるどんでん返しを魅せてくれるのだからさすがだ。受賞は逃したものの1972年アカデミー主演男優賞に二人が同時ノミネートされたのも頷ける。
 ハリウッドの娯楽大作を見る前の浮き浮きした気分にはなりそうもなく、少し「エイっ」と勢いをつけないと見始めることができない作品でしょうが、見始めたら止められなくなります。
 英国風ジョークや長い会話劇が苦手でない人は、私に騙されたと思って見てみてください。もし中古で安く売られていたら、すかさずGETです。多分DVDの予定はないでしょうから。
 所で、「探偵スルースはいつ出てくるんだろう。」と最後まで思い続けてエンドタイトルまで来てしまい、辞書を繰ってやっと納得。スルースはSLEUTH=探偵、刑事という意味だったんですね。そうだったらスルースだけでよかったんじゃないか、と自分の英語力のなさを棚に上げて逆ギレでした。