時計じかけ

  ビデオを含めると、この映画を何度見たか分からない。最初はリバイバルではあったが大画面で見た。「これ以上いじっちゃいかん!」と言って キューブリック自身が入れたといわれる小さく黒い“ぼかし”が右に左に動き、時には微妙にずれるのを楽しみに…、もとい、目障りに思いつつ顔を大きく左右に動かしながら見入っていたのを思い出す。ビリーボーイ一味との乱闘シーンでは、 特に左右の揺れが大きく、観客全員が(女性も含めて)首を左右に振っていた。首にはよい運動にはなったろうけれど、前の列ではキツカッタなぁ。
 当時は家で映画を見るのはカットだらけのTV映画以外は考えられなかったから、全シーンを脳裏に焼き付けようと、ホントすごい集中力を発揮したものである。(結局焼き切れず、劇場へ何回通ったことか。)
 『時計じかけのオレンジ』は自分の中での娯楽映画No.1の作品である。ワルター(今は性転換してウェンディ)・カーロスによる音楽もサントラNo.1と思っている。
 今回のDVDがビデオ,レーザーディスクと進化してきた中で、やはりDVDでも…と思って購入した(今現在3種類手元にあり。あまり威張れるものでもありませんが。)。しかも今は1,500円というスーパー・ハリウッド・プライス。 「えっ。ホントいいんですか?」という感じでした。
 見ると今回も翻訳がやや現代風に変えられているようだ。ただ、中には当時の翻訳の方がブットンデいた部分もあるが、おおむね良好。この違いも味わいながら鑑賞しているところである。
 リマスターで画質ももっと鮮やかになったようだ。次があるとしたらハイ・ビジョン版かな。
 この作品で特筆すべきはやはりマルコム・マクドウェルの鬼気迫る演技だが、その原点であるリンゼイ・アンダーソン監督の『if もしも……』もぜひリリースして欲しいものである。(ここでのマルコムの悪童ぶりも素晴らしい。)しかも スーパー・ハリウッド・プライスで。えっ、これは英国作品でハリウッドは関係ないって?それを言ったら『時計じかけ』だってイギリスですよ。スタンリー・キューブリック。エイコクジ~ン。ハリウッドでナイネ。