創造主の機械観


 花和銀吾という人の、写真を中心としたオブジェ作品。当時は最先端の工業部品だったものを周辺にちりばめているのが、今は古ぼけて見えるというより、もうどこにも見ない部品が極めて新鮮に感じられる。背景の布の汚れ具合もよい。また写真の上半身ヌードの女性も、当時のモデルとは思えない位現代的な顔立ちで、現代でも違和感を感じない。マン・レイやマックス・エルンストの作品と比肩できるすばらしい作品だと思う。
 1931年は昭和6年。満州事変が勃発した年である。この後10年以内でこのような前衛的写真表現は統制を受け、消滅してゆく。
 アマチュア・カメラマンだったからか、花和さんの詳しいプロフィールがどこを探しても出てこない。
集英社「世界写真全集」に短いものがあったので記載しました。

花和銀吾(はなわぎんご、1894年-1957年)
大阪のアマチュア写真家。昭和初期の新興写真の影響を受け、大阪はとくに前衛的蛍光が顕著だった。作者はシュルレアリスムや抽象絵画(抽象美術)の影響を大きく受けて、成立している。具体的な写真家としては、本庄光郎、平井輝七らと「アヴァンギャルド造影集団」に属していた。

“OBJECT 創造主の機械観”1931年