癒し

 癒しのテーマパークが次々と出現しているらしい。これはその中でも注目されている「りらくの森」でのものです。多分タイ式マッサージのお店なのでしょう。竹の柵で仕切られた中で女性が足裏マッサージを受けています。ここまではいいのですが、その周りを入場者がうろうろしているのです。テーマパークの雰囲気を演出するため、わざと完全な個室にはしなかったとのことですが、これではうかつに声を出したりうたた寝すらできないのではないでしょうか。
  マッサージを受けている本人は気持ちよさからというより、軽く目をつぶり周囲を蠢く「浮世の憂さ」から脱却を図っているように見えますが、本当に「癒され」ていますか?
 自分は少なくとも仕切をしっかりして外からの視線と雑音を遮断していてくれないと「癒され」ないのですが…。


「癒やし」ビジネス急拡大
マッサージのテーマパークも
娯楽の場へと「進化」

 「癒やし」をテーマにしたビジネスが、都会を中心に急拡大している。各種のマッサージをそろえたテーマパークや、美容とリラクゼーションの複合施設が登場。肉体の疲労を解消するだけでなく、心身ともにリフレッシュする娯楽の場へと「進化」している。
 ほの暗い「森」の中に、足裏マッサージやストレッチ、ゲルマニウム温浴、タイ古式セラピーなど八つの店が点在する。ゲーム大手のナムコが7月、東京・池袋のナンジャタウン内に新設した「りらくの森」は、業界初の癒やしのテーマパークだ。マッサージは10分干円程度から好みのサーピスを受けられ、同じ施設内でゲームをする合間に立ち寄れる。週末は家族連れやカップルでにぎわい、4時間待ちの店も出る。「ストレス解消をグループで楽しめるレジャーとして提案した」(池澤守執行役員)。
 業界誌「月刊レジャー産業資料」によると、はり・きゅう治療院などの計認可施設以外の「その他のリラクゼーション店舗」は5月現在、全国に約5万軒。ここ数年で急増し、市場規模は推定9千億円という。近藤みちよ副編集長は「女性の利用が増え、美容との融合が進んでいる」と話す。ディスカウントストア大手のドン・キホーテは昨年末、新宿店の地下にマッサージやカフェ、美容院などを集めた複合施設「D・O・C」を開設。1月開業の上野店は美容と癒やしのフロアをつくった。未明や早朝まで営業し、働く女性層の取り込みを図る。
 大阪や千葉などの一部店舖もマッサージや美容院を導入。運営子会社のパウ・クリエーションは「女性も残業後にリフレッシュしたい。需要は強い」(戸城史子サブマネージャー)と全国で出店を加速させる方針だ。
 ホテル業界も動いている。ホテルオークラ東京(東京都港区)は今春、ホテル内に、岩盤の上に寝て体を温める「岩温浴」やミストサウナなどを集めた約千平方メートルの癒やしのスペースを新設。ロイヤルパーク汐留タワー(同)は5月、松下電工が開発した、照明の明るさや寝具を調整して快適な眠りに導くシステムを導入した「快眠ルーム」を売り出した。
 電通消費者研究センターの四元正弘氏は「情報化社会で疲れの種類が肉体から頭の疲れに変わり、生産性を高める心身の休息の必要が社会で認められてきた」と話す。

(05.8.18.朝日)