他人の見た夢の話を聞かさせられること程退屈なことはないと言うけれど、暫しお付き合いください。
 昨夜見た夢が余りに強烈だったため、普段はけろりと忘れてしまう夢の内容を、今でもずっと覚えている。それについて語ってみたい。
『 自分はどこかの草原で、仲間たちと共に、これから始まるコンサートを待っている。
茣蓙もひかず、芝の上にそのまま座って何やらわいわい言いながらバンドの登場を待ちわびている。空は雲一つ無い快晴で、緑がまぶしい位に感じていた。
 と、にわかに一点かき曇ったかと思うと、闇がザアーッという音を立てながら迫ってきた。みんな何が来たかとどよめきながら音のする方向を眺めていると、その音をたてて近づく黒雲に見えていたものは、カラスアゲハの大群であることがわかった。しかもよく見るとすべての個体がつがいになっていて交尾をしながら飛んでいる。何かの影に隠れたいが、この草原に遮蔽物は一切ない。仕方ないので、自分は持ってきた黒いパーカーを着て、襲いくるカラスアゲハの大群に背をむけて蹲った。その瞬間からガシャガシャ、バリバリいいながら自分の体のあらゆるところにぶつかりながらカラスアゲハの大群は通り過ぎてゆく。交尾中に出されるものなのか、それとも霧雨と共に群れが動いているのか、パーカーは濡れ、その濡れた部分にカラスアゲハがひっつき、ばたばたしながら死んでいく。自分は顔にその羽や液体が当たるのを感じながら、どうすることも出来ず、ただただ通り過ぎるのを待った。
 時間にしたら多分15~20分くらいは経ったろうか、やっと瞼の裏が明るく映えるようになったため、薄目を開けて見た。空には青が戻っていた。しかしきれいだった草原は一面漆黒の蝶の墓場となっていた。その中で自分は沢山の蝶の羽を体中に付着させたまま、さながらカラスアゲハか烏の親玉のような姿で佇んでいた。あんなに沢山居たはずの仲間達の姿はもうどこにもなかった。』
 という夢だ。夢占いをすると、多分これは淫夢の類ではないかとアタリをつけながら、我が家にある文献を紐解いてみた。すると、
 蝶:「新しい成長段階に進むこと。また、変身願望を意味する。誘惑を表わす。あなたが追い求めているものの象徴である。チョウを捕まえる夢は、求めていたものが得られることの暗示でもある。」
 「色鮮やかなチョウは、この先どうしていいかわからなくなるほど生活が満たされる前兆。チョウが照明のまわりを飛んでいたら、あなたの勝利は短命です。死んだチョウは、危険を暗示。」
 黒:「黒は悪のシンボルであり、不正、犯罪、事件、黒幕、物事の暗黒面を意味する。死の象徴でもある黒は、災い、陰惨な出来事、恐怖、地獄を暗示する。また、無意識な世界を表し、危険な衝動や抑圧された感情、暗くどろどろとした欲望などの存在を示している。これは自己の醜い面や、認めたくない部分の表われである。黒は心の闇でもあり、思慮や分別を失った状態を表わす。また、あの世の地獄だけではなく、生き地獄や人生のどん底を表わしたりもする。あなたの心のなかに、マイナス感情や悪想念が渦巻いている証拠。」
「不幸の前ぶれです。ただし葬式の場面での黒は、成功を暗示。特に恋愛面。」
 カラス:「《カラスが鳴くと死者が出る》といわれるように、死や悪い予感を暗示している。また、鳥のギャングといわれることから、傍若無人な振る舞いや図々しさ、狡猪で悪知恵が働くことを意味する。一方、《七つの子》の歌から連想されるように、母性愛を表わすこともある。」

 と出ていた。他に重要なファクターである『天候の急変』『交尾する蝶の群れ』『濡れる』『仲間がいたのに一人になる』などまだまだ本では読み解けない部分も多い。自分では何かセクシュアルな意味があるような気がしていますが、どなたか分析出来る方がいらっしゃいましたら、コメントお願いできませんか?(コワイ気もしますが…)
 
Santana Borboletta 不死蝶
サンタナ 不死蝶
(カラスアゲハではないのですが、イメージから離れなかったので。1974年作。)

 自分は実際にこの夢を見る数日前に自宅の庭でカラスアゲハを一羽見ているし、墓参の檻には沢山のカラスアゲハやナミアゲハを見ている。それが影響しているのかも知れない。ちなみに今年は蝶の当たり年だそうで、札幌都心部でも見ることができたそうだ。