どちらもジャズ・ロックorプログレッシヴ・ロックの名盤の内ジャケット写真である。
 
Soft Machine“Third”
ソフト・マシーン
(Elton Dean/Hugh Hopper/Mike Ratledge/Robert Wyatt)
Area“Arbeit Macht Frei”
アレア
(Gianpaolo Tofani/Victor Eduard Busnello/Giulio Capiozzo/Yan Patrick Erard Djivas/Patrizio Fariselli/Demetrio Statos)

 どちらも部屋の中でメンバー達が寝そべっている。双方ともけだるそうであり、その中に切られるような緊張感がありそうでもある。ソフト・マシーンの方は食事のあとの一瞬であるが、アレアの方は何らかの意図をもってこの部屋に集まって来た雰囲気がある。三日月型の鎌とアウシュビッツ収容所入口の写真、絵画。そして表紙に使われた不気味な人形などから何らかのメッセージを読みとる人もいるだろう。
 より大きな違いがある。ソフト・マシーンは4人(正確には6人)が分散しているのに対し、アレアは壁側に集まっている。実はここに似て非なる現実の違いがあったと、自分は推測する。
 ソフト・マシーンは当時ドラムス兼ヴォーカリストとしてバンドのフロントマン的役割を演じていた右端のロバート・ワイアットが、バンドを脱退するかどうか迷っている時期だったのだ。そういわれて見ると、ワイアットは思い悩んでいるように見え、他のメンバーは距離を置いて静観しているようにも思える。
 一方アレアの方は、これがデビューアルバムということもあり、バンドの結束が一番強い頃だったに違いない。その証拠にジャンパオロ・トファーニなんかはメンバーの団結に安心しきって(?)眠りこけているようにも見える。
 作品の背景になるものを読み解いてあれこれ想像するのもまた楽し。 「考えすぎだって、あんた」という声が聞こえてきそうな気もしますが…。