【下妻物語】 日本版『アメリ』 ってゆか史上最強コメディ  | エンタメ&アート系 神映画ランキング

エンタメ&アート系 神映画ランキング

■ エンタメ ジャンル別神映画ランキング
 ハラハラドキドキ、感動、笑える泣ける・・ 「面白いかどうか」のエンタメ至上主義な基準。

■ アート系映画 世界の国別100選
 世界の国別アート系映画。「ひたすら映像美専科ランキング」は耽美至上主義。

**************************************************************
ひたすら映像美専科 TOP100 ノミネート作品
**************************************************************


下妻物語  日本 (2006) 監督:中島哲也

色彩もモロに思い切り青抜き調整をしたアメリ色で、
あまりにも露骨に『アメリ』なのだが、
そんなことはどうでもいいくらいに大好きだ。
やっぱりコメディは背景の微妙な文化的文脈がわからんと笑えないから、
外国のはどうしても笑うのに無理がある。
その点本作こそは、まさに日本人の日本人による日本人のための笑い。
フランスとか海外でも評価が高いらしいが、
おそらく外人ではこの面白さは半分もわからんと思う。
ヤンキーとかジャージとか尼崎とかジャスコとか、
イチゴのバカっぽさを見事に表わした絶妙の敬語とか。
最高だ。最高すぎる。
そして深田恭子ふんする桃子の魅力的なことといったら!
好きだ、大好きだ。
いまだにこの作品を超えるコメディに出会ったことがない。

さらにさらに桃子が次々に言い放つ名言が心に突き刺さりまくるので、
赤字で引用していく。


冒頭の、桃子が農家のトラックにはねられるシーン。
もう、いきなりここで大興奮。
ふりふりロリータ服の深田恭子がゆっくりと宙を舞う間、
ふわりふわりと飛び交うキャベツ。
こんなに美しくて変ちくりんな映像は見たことがない。
すごいすごすぎる。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-1
ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-2
ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-3


死ぬ前に走馬灯のように人生を振り返るのだが、
最初に出てくるのが「できれば私はロココ時代のおフランスに生まれたかった」
という桃子の素晴らしい人格の真髄となるセリフ。
バカ女がヨーロッパに憧れるってのなら単に腹が立つだけだが、
桃子はそんな軽薄でチャラチャラした雰囲気ではなく、
世の中を見事に達観した究極に洗練された人生哲学からきているのが素敵すぎる。
 ロココはそのあまりのバカっぽさから歴史の闇に葬り去られ、
 世界史の授業でもほとんど触れられることもありません。
 だけど、人生なんて甘いお菓子と同じ。
 スイートな夢の世界に溺れる。溺れまくる。
 どんなにアホっぽくても気持ちよければオッケー。
 それがロココの心なのです。

 
ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-4
ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-5


でも、ここは21世紀の茨城県。
その名も下妻。
と、いいつつ、たんぼの道で牛のうんこを踏んでしまう桃子。
可愛い。可愛すぎる。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-6


ジャスコネタ。
 このまちの人間は完全に狂ってます。
おもしろすぎる。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-7

桃子が生まれた町。
尼崎ネタ。
 住民のほとんどがヤンキーか、元ヤンキー。
 消費者は安いということ以外に関心はなく、
 生まれるとすぐにジャージを着せられ、
 ジャージを着たまま死んでいきます。
くっくっ。
この面白さは、絶対に外人にはわからん。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-8


ヤンキーからヤクザへという、いかにも尼崎らしい道を歩んだ男が
桃子の父。
父と母が初めて出会ったときに、二人に恋の電撃が走るのだが、
母には心に稲妻が走り、父には股間に稲妻が走るという描写が
実に的確で素晴らしい。
母が父にあいそを尽かして離婚することになった時に、
野生動物が死ぬTVを冷めた表情であくびをしながら見つつ、
父に放つ少女桃子の至言。
 だから何?
素晴らしい。惚れる。

そして医者と再婚することになった母からの誘いを断り、
ダメ親父と暮らすことに決めた理由がまたカッコいい。
 ただ単純にそっちの方がめちゃくちゃで面白そうだったからです。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-9


 「どうかなにゆえ、お願いします」
 「桃子さん、おられるんですかな」

という絶妙にめちゃくちゃな敬語の名ゼリフをひっさげて、
満を持して登場したアホ丸出しのヤンキー娘、イチゴ。
面白い。あまりにおもしろすぎる。

心の中で怯える桃子。
 スケバンじゃん。眉毛書いてんじゃん。唾はいた。
 殺される?私、殺される?


ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-10


バイクを「もう一人の自分」と語るイチゴだが、
なぜか原付。
天使のような満面の笑みで桃子がイチゴにきく。
 もしかして。
 自動二輪の免許撮りたかったけど、
 試験に落ちたとか?


ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-11


怒るぞ!
 どーぞ。
殺すぞ!
 殺せば。
おめえ、性格悪いな。
 ねじ曲がってまーす。
ダチいねえだろ。
 はい!
寂しくねえのか?
 まーったく。


 人間は一人なの。
 一人で生まれて、一人で考えて、一人で死んでいくの。
 人は一人じゃ生きられないなんて、だったら私は人じゃなくていい。


桃子、可愛い。可愛すぎる。
理想の女性だ。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-12


何聞いてんだ?
 ヨハンシュトラウス。
知らねえな、そんなバンド。

中島監督の「バカ」に対する描写は、
悪意が感じられるほど冷徹で容赦がないが、根底には愛を感じる。
そのスタイルは『嫌われ松子の一生』に引き継がれるが、
「バカですか?」の『告白』では、
バカに対して熾烈に尖った攻撃性をみせる。
きっと、可愛いバカと憎むべきバカとの違いなのだろう。

ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-13



 それがどんなに非常識な生き方だとしても、
 幸せならいいじゃん。
 気持ちよければオッケーじゃん。
 ロココの精神は私にそう教えてくれました。


ザ・ベスト・オブ・エンタメムービー 100選-14








***************************************************************
ひたすら映像美専科 TOP100 全ノミネート作品リストはこちら
***************************************************************