【デトロイト・メタル・シティ】 鬼畜道を笑いに高めた異常天才レトリック | エンタメ&アート系 神映画ランキング

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【評価】 ★★★★★




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 オレは地獄のテロリスト
 昨日は母さん犯したぜ
 明日は父さんほってやる
 サツガイ サツガイせよ
 思い出を血に染めてやれ

 オレには母さん父さんいねぇ
 それはオレが殺したから
 オレには友達恋人いねぇ
 それはオレが殺したから


不道徳とか不謹慎というのを突き抜けて、
どこか違う世界に到達したような歌詞である。

公共の場では信じられないような言葉が
々と発せされる映画を
普通の人たちが普通に笑って観ている。
そんな信じがたい光景をつくっただけでも
本作の功績は計り知れないものがある。

それにしてもこの漫画の天才的レトリック。
王道からはずれた道を行きながら、
多くの人の心を動かす創作ができる才能。
エンタメ界ではそれを「異常天才」と呼ぶ。
原作の表現力はそういうレベルだ。

まりに激しく感動したので、
エンタメ至上主義が選ぶ「DMC名言ランキング」
(解説入り)をやりたくなった。


1位 「私はそんなのじゃ濡れねえんだよ!!」

デスレコード女社長のトレードマーク的台詞。
極悪非道なものに対してのみ性的興奮をおぼえ、
「濡れるor濡れない」が全ての物事の善悪基準であるという
彼女の人格の特異性を見事に一言で表した名言。
女性が使う捨て台詞としては一撃必殺の衝撃だ。
類似表現に「怒りで股間が裂けそうよ!」がある。


2位 「バカヤロー
    これは"公然猥褻カット"といって
    かなり上級デスメタルのヘアスタイルだぞ」


根岸のマッシュルームカットをチンポみたいでダサいと
言う弟に対してクラウザーさんが諭すように言った言葉。
DMC信者の弟はこれで更正して、
「やっぱカッコいい。本物のチンポみたいだ」
と尊敬のまなざしで兄を見るようになる。


3位 「オレは音楽に感謝している
    ミュージシャンにならなければ
    猟奇的殺人者になっていたから」

2ndシングル「グロテスク」の帯に書かれた言葉。
いかにもミュージシャンが言いそうなキザな雰囲気がいい。
ちなみにファーストアルバム「魔界遊戯」の帯は
クラウザーさん、やめて下さい
 その人とっくに・・死んでますから」
ここまでくると、もはや文学の香りが。


4位 「ク、 クラウザーさんが死んでいる
    いや、あれは究極の自虐プレイだ」


足元をすべらせて鎖に絡まり首吊り状態になった
クラウザーさんを見て信者が興奮して発した言葉。

華麗なレトリックを駆使するのはクラウザーさんだけではない。
DMC信者たちがいちいち行う解説が素晴らしい。
芸能もスポーツも格闘技も、
優れた解説と演出があってエンターテイメントとなるんだな。


5位 「出た!クラウザーさんの1秒間に10回レイプ発言」

レプレプレプレプレ・・
説明無しでは一体何をやってるのかさっぱりわからない。
っていうか、1秒間に10回レイプと言う行為自体、
何がどう恐ろしいのかわからない。
そんな意味のない行為がファンによって
名称が付けられ熱狂的に語られることで
なんだか凄そうな空気が生まれる。


6位 金玉ガールズ

映画でこのネーミングもそのまま使われていたことに
邦画界の良心と明るい未来を感じた。


7位 「そろそろ2人で消えないか
    快楽の花園に連れてってやるぜ」


映画では「ブルマ」という言葉しか発さなかったカミュこと、
ドラムの西田君。
彼の素顔の魅力が映画で紹介されなかったのが残念。
変態アニメオタクの西田君は、
いつも「食い込み戦隊ブルマちゃん」のトレーナーを着ている。

そんな彼はオタクらしくボソボソしゃべるのだが、
ときどき顔に黒い影をつけて、
人知れずしゃべっている内容が激しく邪悪。

上記は、DMCメンバーで合コンに行ったときに
次会のカラオケに歩いているときにブツブツと言っていた言葉。


8位 「シャチュガイしぇよ シャチュガイしぇよ」

デスレコードの女社長がグリとグラを連れて
根岸の下宿を襲撃した時、映画では登場してなかったが
大家のシゲじいさん(ヨボヨボ)も一緒にボコボゴにされる。
その結果、おじいさんは若い頃の勢いを取り戻し
MCの虜になりSATSUGAIを歌う姿が微笑ましい。

このおじいさんの他、今回映画で出なかったのが
残念なのは「資本主義のブタ」のおっさんだろう。
中年太りの恥ずかしい裸体を公衆に曝せつつ、
マゾプレイにノリノリになるその姿に、
漫画界に初めてロックを持ち込んだ伝説の名作、
「マカロニほうれん荘」の熊先生を思い起こすのは
俺だけではあるまい。

というわけで、
久々に脱糞、じゃなくて興奮したエンタメだった。