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あの少女小説を読んだのは、かれこれ20年以上も昔のことなので
タイトルは、適当につけています。小説も漫画本も再刊して欲しいけど、
無理だろうな。
でも、まさかWikiに記事があるとは思わなかった。
へえと驚いてしまった。
真澄が運転する車は、闇を切り裂くようなスピードで鎌倉に向っていた。
鎌倉の市街に入ったところで、聖から連絡が入る。
「真澄さま、西在家ですがこちらで調べたところ、紫織さまと同級生の
お嬢様がいらして、」
「紫織さんが関係するのか?」
「・・・そのお嬢様は、関係ないようです、その方は大学を卒業すると同時に
結婚され、現在は外交官である夫の赴任地である米在住です。
そのお嬢様の父で家元の姉にあたる方で、会長より一回りぐらい下の
年齢で小説家をなさってるお嬢様が、今回の誘拐犯人みたいです」
「はあ、何でだ?」
「どうやら会長への意趣返しみたいです。マヤさまは、会長とよくパフェデートを
されてましたから」
「・・・それは、初耳なんだが」
「・・・マヤさまは、鎌倉の家元屋敷の離れにいらっしゃいますが、どうされます?」
「俺は鎌倉に向っている、屋敷へは俺から電話するが、どうなってるんだ」
「・・・真澄さまが、直接会長へお尋ね下さい」
***
私は、人形...、マヤは稽古へ行く途中に、声をかけられた、振り返ると、
美しい女性が微笑んだ。
「マヤさん、私は、西在家リオです。パフェおじさんの使いなの、
どうしてもあなたにお願いしたいことがあって、聞いてくださるかしら?」
「ごめんなさい、これから稽古なので」
「そう、仕方がないわね」
女性は、マヤの顔の正面にアトマイザーで何かを吹きかけた。マヤの意識が
途絶える。目が覚めるとマヤは着物を着せられていた、女性の顔が正面にあり、
妖しく目が光る。
「あなたは、人形よ」
マヤは暗示をかけられたらしい。
「本当に人形そのものだわ」
女性は、マヤの髪を梳いたり、抱きしめるがマヤの四肢は人形にように、
なすがままである。目は、ひとの生気を発しない、まぶたは一度も閉じられない。
女性は、愉しくなった、大切にしていた市松人形を扱うように、マヤと遊んだ。
「私の、私の大事なお人形さん」
***
キキー、門の外で急ブレーキの音がした、女性はその音を聞きつけ、窓から
外を見やる。
黒いスポーツカーだった。
「あら、息子の方が来ちゃったわ」
***
「夜分にすみませんが、こちらの離れに私の連れがお邪魔しているようで、
迎えに来たんですが?」
「・・・わかりました、案内します。こちらです」
真澄は、案内された離れの部屋に入ると、市松人形の格好をしたマヤがいた。
「その女性を返して頂きたいんですが?」
「どうして、これは、私の人形よ?」
「俺のものです。返して頂く」
「ふーん、紫織から聞いた話とは、大分違うようね?まあ、英介さんの
息子だもの、仕方ないか」
「親父の敵を、俺でとるのはやめてもらえませんか?」
「だって彼女は、英介さんのガールフレンドでしょう?」
「俺の恋人です(予定)」
「先月まで、婚約者がいたくせに」
「解消しました」
「ふーん、そういうことか、どうぞ」
真澄は、市松人形そのものになりきったマヤを大切に抱き、部屋を
後にした。
女性は、面白げにその様子を見ていた。
***
続く その4