今日、白鳥をみた。秋空に飛ぶ白鳥はとても優雅だ。

いつかはとりたいけど、鳴き声聞いて、外に出て見上げたら

もういなくなる。

仕事がひと段落して、また読書と絵描きに逃避した。

何回描いても、ペン画が完成しない。マイペースにいこう。うん。


Kierkegaard


「速水さん、あのね、えーと」


「何だマヤ?言いたいことがあったら、簡潔に述べなさい」


「いいです、さようなら」


「まて、来たばかりじゃないか?」


「ごめんなさい、さようなら」

彼女はそういい置いて、社長室をばびゅんと去っていた。


「マヤ...」


「さようならって、まさかな」


俺はそのとき、そのまさかであることを知らなかった。


あれからか彼女の携帯に電話をかけても、メールも一切つながらなかった。


俺も仕事に追われているので、昔のように彼女に仕事場にさり気なく、

陣中見舞いにも行けなくて、いざというときの聖頼みでマヤに連絡を

とろうとしたら、先手を打たれていた。


「真澄さま、申し訳ありません。マヤ様とお約束しておりますので」


「お前は俺の部下だろう」


「真澄さま、今回は、マヤ様にお付きしたいと思います」


「水城くん」


「ごめんあそばせ」


秘書の水城も、当てにならない、そうだ、黒沼さんに


「若旦那すまん、俺は人の痴話げんかには手を出さないんだ」


彼女の姉貴分の麗くんがいる


「速水社長、こればかりは...」


一方的な別れ話に、思い当たることがなく、連絡すら取れない状況に

いらいらを抑えるので精一杯だった。


いらいらすると、水城くんの恐ろしい逆襲にあう。弱みを沢山握られている

せいか、降参するしかないのだ。


10日が経った。


携帯にメールの着信音、受信ボックスをみるとマヤからのメールだった。


「件名:反省しましたか?」


何のことだ、本文には、


「あまり聖さんをいじめないで下さい。

聖さんから聞きました。あんなに速水さんを大切にしてる人に

理不尽な対応をする速水さんは大嫌いです。

すこしだけ反省してもらおうと、意地悪してみました。

もし、また聖さんに意地悪するとそんな心の狭い人と

お付き合いはできません」


俺はがっくしとなり、深いため息を吐くと、またメールが。


「追伸、ずーと会えなくてさびしかったです。本当は、一月と思ったけど、

10日でギブアップしました。早く逢いたいです」


俺は、水城くんに調整してもらって、恋人の元に急いだ。


***


「聖さん、これで大丈夫ですか?」


「もちろんです。真澄さまは、お怒りになりませんよ」


「ごめんなさい、聖さん。私のせいで」


「そんなことありません。私はマヤさまとお買い物をするのは楽しいですから」


「本当ですか、また行きましょうね」


10日の間、十分な休暇も頂きましたしね。


付き合いが長いだけあり、主人の性格、動向の見極めは完璧である。


ちゃんちゃん。