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愛用のスティック

世界初のスティック専門メーカー。Regal Tip。
自分が好きなアーティストも数人使っている。

そのモデルの中でも5Aというやつが気に入っています。
全長:406mm、径:14.7mm、太さはほぼ標準ぐらいで短め。
取り回しやすい。

ある日、スティックバッグを忘れてスティックが無い時、
練習場の近くのローカルな楽器屋で、その場しのぎの1ペアを買ったことがきっかけで気に入った。
なぜあんなローカルな楽器屋に置いてあったのか不明。
JPCでもあんましないのに。

Regal Tipのスティックの特徴はニスが塗ってあることと、
スティックの中心になんか入ってる。
すべりにくく、重心がしっかりしているので好き。

でも、あんまり売ってない上に品質が宜しくないのが欠点。
曲がり上等で、重さピッチがあんましペアリングされてない...。
ニスのムラもある。

最後の5Aは1年ぐらい前にチップ破損で引退させた。
それ以来、5Aをちょくちょくネットで買ってはいるものの、
中々良いペアが届かない。店でもあんまり売ってないし...。
前行った楽器屋に置いてるか探してくるかな。

スティックバッグは珍しいRegal tipのものを使ってるくせに、
とうとうRegalのスティックは8Aというジャズ向きの1ペアのみになってしまった。
重さ・ピッチが揃い易い他社製品が増えてきた事が要因。
お気に入りメーカーなので、悲しむべき事象。
残ったのも、ピッチと重さが揃った良いペアなので、極力使いたくない。もったいないけど。
若干チップがギザついてきたのが怖い。

クラシックで使ってるスティックなんかはバカ叩きしないので、生存率が高い。
もう10年以上使っているスティックもあるので、曲に応じてスティックを変えて、
長持ちさせたいものですね。
$Percline >>Something not usual

甦る伝説

ある中学校に居た、手入れされていないご機嫌斜めなスネアを甦らせる。
前回の日記に書いた、続編である。

ラディック LM400。
言わずと知れた、世界で一番売れている、伝説のスネアと言っても過言ではない奴。

こいつがポテンシャルを発揮できないのは可哀想過ぎる!
そして、自分がラディックのスネアを叩いて、
上手になったことを実感した経験を思い出して、修理することにした。

作業工程を紹介。
の前に、こいつは何年ぐらいのモデルなのか...。
$Percline >>Something not usual-Before
バッヂを調べるとパッと見1990年に入ってからの奴のようだ。
意外と最近じゃないか。

今回使う道具。錆び取り液とメタルポリッシュ、後はご存知Kure 556。
$Percline >>Something not usual-道具

さて、それでは分解。ネジ、ボルト類を捻ると軋む音がする。
$Percline >>Something not usual-分解
錆びが酷い上に、何故か色々部品が足りない...。
誰かが外したのか、他のスネアのものと思われる部品も付いている。
とにかく、状態は宜しくないのはわかった。

細かい部品を錆び取り剤に漬けている間に、シェルとフープを磨く。
Percline >>Something not usual-錆取り

最も残念だったのが、シェルが曲がっていること。
多分いつか倒されたんだろう。裏の皮のチューニングがし辛かった。
錆びを落とす為、メタルポリッシュで表面研磨。
$Percline >>Something not usual-シェル

細かい部品も全部磨いて、再度取り付け。
ネジ穴内部にはとりあえずKure556を吹いておく。暫く経ったらグリスを塗ったほうが良いだろう...。
足りない部品類は、自分の楽器の余った奴を転用。
$Percline >>Something not usual-After2

作業開始から約4.0時間。

伝説再び。
皮も全て純正に変更。
柔らかく薄いラディック純正の皮は、ラディック特有の弾ける音を引き立てる。
$Percline >>Something not usual-After1

あと20年は戦えるだろう。
これからも生徒達に打楽器の良さを教えてやってくれ...。

思い出す(後編)

後編。

大学に入ってから、一度高校に行って、いつも使っていたスネアを借りてきた事がある。
当時はメーカなんてヤマハぐらいしか知らなかったが、そのスネアはラディックだった。
高校当時ロールの練習をしたかった時、設置されているスネアが1台しかなく、
倉庫に眠ってて誰も触らない、そのラディックのスネアを引っ張り出して叩いたのが出会いだった。
モデルは今となってはよく覚えてないけど、
白黒バッヂだったので恐らく低グレードの14×5のLM300だったと思う。
スタンダードなスチールスネア。

叩き易い。大学にあるパールのピッコロスネアとは段違いだ...。
皮にスティックが吸い込まれる感覚。広がる乾いた音。
当時、他のどのメーカより印象に残ったのを覚えている。

そのラディックは高校に返し、バイトでお金を貯めて、
「楽器屋に一番軽くて明るい音のラディックをくれ。」と突入。
出てきたのはアルミ銅のアクロライトだった。4万ぐらいだったか。
これも叩き易い...。
どうやら"ラディックのスネアは叩き易い"のは当たっているようだ。

1年程経ったある日、皮も痛んできたので、変える事にした。
メーカも大して知らなかったし、あんまり考えず、
楽器屋に沢山置いてあったスタンダードなREMOの皮(アンバサダー)を購入、装着。
!!!叩き辛くなった!何故だ!

皮の厚さか!そう思って数日後、前回購入した皮より薄いREMOの皮(ディプロマット)を購入。
!!!パワーがなくなった上に叩き辛くなった!何故だ!

また数日後、今度は逆にREMOの厚い皮(エンペラー)を購入。
ちょっとマシになったけど、最初と全然違う!その後も色々な皮で試行。

しかし、その後の練習のせいもあってか、どんな皮でどんなチューニングでも、
一定の品質のロールができるようになり、特に気にしなくなって数年。
市民吹奏楽団に入って、ラディックの木胴スネアを持っている人物に出会う。
ウッドフープのはまった、イカした見た目のスネアだ。
叩き易い!あの頃の記憶が甦る。皮は純正のラディックの皮だった。
調べたところ、この皮は他のメーカーに比べて薄くて耐久力は低いけど、柔らかい。
"皮にスティックが吸い込まれる感覚"は、この柔らかい皮のせいだった。

5年の歳月を経て、楽器と皮問題解決の瞬間。
更にウッドフープにするとスチールフープ特有の高音が無くなり、
パワーは落ちるものの、オープンな音が強調される事もわかった。

ラディック特有の、オープンで乾いた音を一番引き出すのは、純正のヘッドだ。
叩いた時のスティックの跳ね返りが心地良く、手首に余計な負担が掛からない。
その叩き心地が、きめ細かいロールに繋がったのだった。
よく学校とかでもラディックのスネアを見かけるけど、
ラディックの特徴を知らないのか、好みなのか、どうでも良いのか、他メーカの皮になっている。

教えに行ってる中学校にあるのは、80年代製の"世界で一番売れているスネア"LM400。
どんなジャンルにもマッチする、スネア界の伝説。ボロボロだけど。

一時的に自分の持ってる部品をかき集めて応急修理したものの、
このスネアのポテンシャルは眠っている。叩くとそんな声が聞こえてくる。
「俺、まだやれます。」と。

そんな楽器の声を無視する訳にはいかない。
故障箇所の修理含めて、部品も磨き倒して純正の初期出荷状態からチューニングする計画。
こいつはきっと、俺の思いを生徒に伝えてくれるはずだ。

タイムリミットまであと1ヶ月と少し。
俺の思いは伝わるだろうか。
楽しさが伝わる音楽をして欲しい。