<20th July Mon>

ROHのシーズンもほぼ終わり、一気にヒマになったと思いきや、しばらく仕事が忙しいので毎日出勤かもしれないけど、お天気いまいちなので丁度いいかな。夜はラジオでプロムスでも聴きながら溜まった記事を片付けてくつもりだけど。

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7月16日、ラ・ボエームを観に行きました。 ROHで40年以上親しまれた素晴らしい長寿プロダクションに別れを告げるためにしょぼん



家舞台セット椅子


その日のうちにざっと様子を書きましたが(→こちら )、屋根裏部屋からカフェへの場面転換を幕を下ろさずに見せてくれたのがハイライトで、屋根裏部屋があっと言う間に舞台袖に消えると、豪華なセットとコーラスや俳優さん、子供たちが所狭しとすでに配置に付いてる大きな台がそのまま前に滑り出てくると歓声が上がりましたクラッカー

そう言えば、2年前、途中で「すみません、故障により舞台転換が出来ません」、というハプニングがあり、屋根裏部屋以外は背景は真っ黒の壁だったことがあるのですが、あれはきっと台を動かすスイッチとかが壊れてたんでしょうね(→こちら )。


特にこの豪華なカフェとパリの通りが2階建てになったこの第二幕が素晴らしいこのプロダクションがもう観られないのは淋しい限りです(捨てたり売っ払ったりせずにキープしておいて、次のがあまりにひどかったら再登場するかもしれないですけどね)。

どんなお話かと言うことは、過去記事をご覧下さい(→こちら )ですが、要するにパリに住む貧しい詩人とお針子の悲恋物語で、可哀相なミミちゃんは肺病で死んじゃうのしょぼん





カメラ以下の写真はクリックで拡大)


Music Giacomo Puccini

Libretto Giuseppe Giacosa
Libretto Luigi Illica
Director John Copley
Designs Julia Trevelyan Oman
Lighting design John Charlton
Conductor Plácido Domingo
Mimì Lianna Haroutounian
Rodolfo Piotr Beczala
Marcello Levente Molnár
Musetta Ekaterina Bakanova (Sonya Yonchevaの代役)
Schaunard Dionysios Sourbis
Colline Nahuel di Pierro
Benoît Jeremy White
Alcindoro Donald Maxwell

   
度々出てくる演出家のコプリー氏もこれが最後ね
   
カラオケパフォーマンス

今回は2チームあり、普通だったらAチームのネトレプコとカレヤ組を千秋楽に出して更に盛り上げようとするのでしょうが、超人気のネトコちゃんが都合つかなかったのか、Bチームで行われました。歌手の顔ぶれは地味でも、目立つ所にはしゃしゃり出る進んで出演して下さるドミンゴ先生が指揮してくれれば充分と思ったんでしょうね。 

そのドミンゴ先生、この日のボエームは無難に指揮してくれましたが、昨夜のオペラリアという歌コンテストでは危うかったですよぉ・・。 それは又あらためて。


     


ロドルフォ役のピョートル・ベチャワは有名で上手な筈だからいいとしても、ミミ役はリアンナ・ハルトニアンLianna Haroutounianですかぁ・・・・ガーン  

2年前のドン・カルロにハルテロスの代役で出た(→こちら )アルメニア人のソプラノで、決して若くないし小太りなのでその時はリアンナおばさんと呼んでて、歌は美声でなかなかでしたが、いくらなんでもこんなコロコロしたおばさんを大事な日のミミ役にしなくても・・・。


とブーたれてましたが、嬉しいことに、リアンナおばさん、顔の肉が落ちただけではなく、素顔に近いメークで可憐な娘らしさも出て、心配したほど違和感はありませんでした。貴婦人というより女中さんタイプなので、ドンカルロの時の王女役はかなり無理がありましたが(すらっとエレガントなハルテロスと比べたし)、素朴な雰囲気がお針子には向いてて、ミミは最初エプロン姿なんですが、よく似合ってました。


ベチャワとのケミストリーも、おデブカップルのネトレプコとカレヤよりはずっと信憑性があり、ライブシネマはこちらのBチームの方が良かったのにね。 だって、ネトコちゃんやカレヤが誰だか知らないオペラに疎い人にとっては、「なんで貧しくて飢えてる男と肺病で死ぬ女がこんなに太ってるんだよっ!?」ってことになるもんね、当然。


リアンナおばさんは艶のある美声ながら高音が上がりきらない所もあったし、ベチャワも高音がうまく出ず少々不調だったのですが、二人で素朴で悲しい恋物語を上手に演じてくれたので、技術的なことはあまり気になりませんでした。


他の人たちも役柄にぴったりの容貌と雰囲気だったので更にストーリーとして盛り上がり、最後の最後にこうしてしっとりしっくり終わって良かったです。


    


ムゼッタ役はソニア・ヨンチェバの筈だったのにキャンセルして(椿姫の最終日も降板)がっかりでしたが、代役のエカテリナ・バカノヴァは華やかな美貌で、Aチームの太ったムゼッタよりずっと魅力的でした。


マルチェロはでっかい方が頼りがいがあって好きですが、Levente Molharはまさにどんぴしゃで、ROHには時々出てくれてすが(ドン・ジョバンニのマゼットとか)、歌唱力も充分あり。


というわけで、舞台自体がスターになるだろうと思った千秋楽でしたが、意外にもパフォーマンスも楽しめて、更に思い出に残る夜となりました。



はてなマークところで、私は一体このプロダクションを何度観てるんでしょうか?


これから数えてみるのですが、良い機会ですから歴代の歌手たちの比較もしてみようかと思ってます。8月はオペラやコンサートがほとんどなくてうんとヒマですから。




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<18th July Sat>


午後はROHの研修生たちのコンサートで、例年よりも舞台セットも衣装も頑張ってくれて楽しめましたが、なんと一人、えっ!という人が混じってて違和感ありました。ネリー・ミリチョーはそこそこ人気のあった往年のソプラノですが、時代掛かった大芝居はまるで「サンセット大通り」のグロリア・スワンソンみたいだった・・。 若手アーチストを支えているらしいので、その御礼ってことかもしれませんが、一部であっても主役(アドリアーナ・ルクヴルール役)させてあげなくてもいいんじゃないの? 若手アーチストのコンサートなのに、おばあちゃん声の人がしゃしゃり出たら変でしょ。

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一昨日のラ・ボエームの長寿プロダクション最終日には着物で行きました。


     



爽やかな日で最高気温がせいぜい25度くらいだったので袷でもいいんでしょうけど、薄物を今着なくていつ着るんだ、ってことで、紗の透ける清涼感で日本でご覧の方も暑苦しく感じないようにしてみました。


風通織り(つうふうおり)という摩訶不思議な布地で、異なる色の糸を用い て二重組織の平織りとし,表と裏に同じ文様が異なる色で表れるように織ったものですが、二重織りでもすごく薄いし、一体どうやったらこんな風になるのかさっぱり理解できない構造ですが、大好きな着物です。



一人で行ったのですが、ブログを通して知り合った日本の方がお着物でいらっしゃるということで、私も目印に着物で。 


薄いグリーンで板に付いた上品な着こなしの美しい同世代の方と着物でご一緒させて頂けて、この記念すべきさよなら公演がより思い出に残る夜となりました。



たくさんの方に褒めて頂きましたが、ハンガリー人のお婆ちゃんが、私の博多献上帯を、「ハンガリーの民族衣装の柄と似てるわ」、とすごく喜んでくれました。たしかに感じそっくりかも。 意外なところで繋がる民族衣装の輪!

     



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<16th July Thus>


今日はラ・ボエームの最終日でした。


40年以上も愛されてきたドル箱プロダクションの最後のカーテンコールクラッカー


カスパー・ホルテンが最初に挨拶に出てきて、「今夜はスペシャルですから、①1幕目と2幕目の場面転換をカーテンを下ろさずにお見せします ②2幕目の最後にコーラスがカーテンコールします」、とアナウンス。


今日の主役はプロダクション自体なわけだから、誰もいない舞台に拍手を送りたかったのですが、残念ながらそういう案にはならなかったみたい。


パフォーマンス等についてはあらためて書きますが、今日は、そういうわけで、初めて見る第2幕のカーテンコールの写真だけアップしておきます。このカフェのセットが豪華で素敵なのよね~ワイン



長い間、目を楽しませてくれて、ありがとうドキドキ

双眼鏡でくまなく眺めたら、今まで気付かなかった小道具とかいくつかあり、最後になって、細部にこだわったプロダクションだったということを再確認。


陳腐な衣装さえ新しくすれば、まだまだ使える素晴らしいプロダクションだったのに、オシャカにされちゃうなんて・・・しょぼん  まだ演出家が生きてるわけだし、そういう一部変更も可能なのでは? 


代わりの新プロダクション、どんなヘンテコになるやら・・・ガーン

新しい観客の獲得に努力してますと言うわりには、こういうまともでわかりやすくて美しいのを捨てて、わけわからん新プロダクションを増やすんだから、言ってることとやってることが逆でしょうがプンプン




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<13th July Mon>

やっとウィンブルドン・テニスも終了。観た試合のほとんどは応援した選手が負けたのでスキっとしませんでしたが、それは忘れて、テレビから離れて普通の生活に戻れます。

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                                       カメラ写真はクリックで拡大


ちょっと前のことですが、6月25日にオスタリー・ハウスOsterley Houseを見学。


数少ないロンドンにあるナショナル・トラストで、入場料は大人9ポンドですが、私たちが持ってるNational Art Passだと無料なもんで行ってみました。トーチャンは2回目、私は初めてでしたが、ヒースロー空港に向かう地下鉄ピカデリーラインのOsterley駅はゾーン4なので、中心からも簡単に行けます(駅から徒歩で15分)。


       

大きな池の向こうにお屋敷が見えてきますが、ここはまだ無料エリア。睡蓮がきれいでした。


    


1780年代の赤レンガの壮麗なカントリー・ハウスは絵になるので、映画やテレビなどのロケーションにもよく使われるそうです。私たちが行った前日も撮影で閉鎖になってたので、いらっしゃる前にウェブサイトで確認して下さいね。

           


まず庭を散策しましたが、有料の広いお庭は、ヨーロッパ大陸スタイルの幾何学庭園ではなく、ナチュラルなイングリッシュ・ガーデン。 だだっ広いワイルドな所もあり、全部歩いたら結構時間掛かりました。

                  
     

一番良かったのは、色とりどりの花がたくさん咲いてた切り花ガーデンcut flower gardenで、お屋敷の中にもきっとここで育てたに違いない可憐な花が可愛くて活けられてたのが印象的でした。


    


     

コーヒー

カフェでお茶とスコーンで一休みしてからお屋敷の中に入りましょう。お天気が良いから外でね。平日だから空いてるし、気分良し。



      


飛行機 ヒースロー空港目指して飛行機が次から次へと飛んでます。 

すっきりしたジョージアン様式ですが、細かいところが繊細で麗しいです。


      



見所は白とグレーのエントランス・ホールと、舞踏会場でもあり、お天気悪い日はジムでもあったロング・ギャラリー。



このお屋敷、さすがナショナル・トラストが管理してるだけあって、ちゃんと修復管理されてるのは素晴らしいのですが、壁に掛かってる絵画とか駄作ばかりなのが惜しい点で、階段の踊り場の天井のルーベンスに至っては複製。

 

これだけの建物なのになぜろくなものがないかと言うと、かつてのご当主がジャージー島に本宅に目ぼしいものは移したところ、そこが火事で焼失しちゃったんですってメラメラガーン


   

芸術品は大したことないし、家具もオリジナルは少なくて、後で同時代のものを買い集めたというのも残念なお屋敷ですが、天井の装飾は素晴らしいです宝石赤


    

オペラ・シーズンももうすぐ終わってヒマになるので、お天気の良い日はこうやって戸外の楽しみを重視しないとね!


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<11th July Sat>

ウィンブルドンテニス中はどうしてもカウチポテトにどうしてもなってしまうのよね。折角ラブリーなお天気なのに、勿体ないけど。明日の男子シングルス決勝、アンディが出ないのでどうでもいいんだけど、私の胸キュンテニス選手ナンバー1のステファン・エドベリがフェデラーのコーチだから、やっぱりテレビ観戦しよう。明日は彼がサングラス外してくれるよう曇りになって頂戴。私が一度だけウィンブルドンテニスに行ったのはお腹が大きかった28年前なんですが、それまでも好みだったエドベリ(英語ではエドバーグ)をその時目の前で見て心臓バクバクだったんですラブラブ! そろそろ50歳だけど、相変わらずハンサムね~恋の矢 (はい、イギリス人以外のテニス選手は容姿で選ぶ私です)

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7月4日(土)に初めてGrange Park Operaに着物で行き、素敵なガーデンやレストランのことは既にアップしましたが(→こちら )、オペラはどうだったかと言うと、


今回は場所の見学が言わば目的だった上に、どうせ大した歌手は出ないだろうと思って期待もせず歌手の経歴なども知らずに敢えて白紙で臨みました。


サムソンとデリラは、旧約聖書に出てきますが、ヘブライ人の腕腕男サムソンが異教の美女デリラに誘惑されて弱点を教えてしまい、ヘアカットされて力がなくなってしまうが、最後は神の力で回復して異教徒をやっつけるというキリスト教世界では超有名なストーリーで、サン・サーンスのオペラ代表作。



恋の矢Samson et Dalila


Conductor: Gianluca Marciano
Director: Patrick Mason
Designer: Francis O'Connor
Lighting Designer:


Samson: Carl Tanner
Dalila: Sara Fulgoni
Abimelech: Nicholas Folwell
An Old Hebrew: Christophoros Stamboglis
High Priest of Dagon: Michel de Souza

Bournemouth Symphony Orchestra


家ワンピース

プロダクションは、うへーっ、又か・・むっ、と思う20世紀前半への読み替えで、悪者はナチス風の制服というありふれ過ぎた演出。 セットも衣装もそこそこ美しい舞台だけど、オリジナリティ欠如。




カラオケ

パフォーマンスに対する期待は低かったですが、主役の二人がなかなか素晴らしくて、思いのほか楽しめました。


特にサムソンのテノールのカール・タナー、名前聞いたこともないけど、こんな小さなホールでは勿体ない声量と力強さで凄い迫力爆弾

これだけ歌唱力がありながら、チビデブという典型的なテノール体型のせいもあってこの年になっても(1962年生まれ)芽が出ないのであれば気の毒だと思ったら、私が知らなかっただけでなかなか立派な経歴の持ち主でした(出演記録と予定→ こちら )。 アメリカ人の彼は、なんとメトロポリタン・オペラのアイーダで主役のラダメスを歌ったこともあるそうですよ! 


レパートリーは、タイプが同じホセ・クーラやアントネンコと被って、オテロ、アイーダ、トゥーランドット等ですが、昨年のグレンジ・オペラでのピーター・グライムスは適役だったに違いないです。

来年2月、3月にROHでプッチーニの外套に出るので(→こちら )、彼のマッチョな声がたからかに響き渡るのが楽しみにです。 


デリラ役のサラ・フルゴニはイギリス人なのにやっぱり聞いたこともないメゾ・ソプラノ。 出だしは声が割れ気味でちょっと不快ですらあったけど、徐々に声が温まってきたら、厚味と艶のある素晴らしい声じゃないですか! 色気不足の衣装と慎ましやか過ぎる演技でデリラに必要なセクシーさには欠けましたが、サムソンとはダイナミックでスケールの大きなカップルでした。



ところで、


ここには有名歌手なんか出ないでしょ、と見くびってましたが、失礼致しました、なんと超人気歌手も出てて、今年はブリン・ターフェル!、そして来年はなんとサイモン・キーンリーサイド


ブリンは「屋根の上のヴァイオリン弾き」、サイモンは「オリヴァー」で、こんな田舎でイギリスを代表するバリトン二人はこっそり楽ちんなアルバイトしてるのか!、ってびっくりよ。(ブリンのFiddler on the Roofは7月25日にプロムスでやるので内緒ってわけにはいかないけど) ※サイモン情報は、レストランのテーブルに置いてあった小冊子に書いてありました。


切符代は当然吊り上り、今年のブリン特別価格の最高はなんと250ポンド叫び

ROHだって滅多にない価格よ。因みに通常価格は最高で180ポンド(週末)/170ポンド(平日)で、私の席は80ポンドでした。


というわけで、車がないと不便なんですが、来年のラインアップが出たらチェックしないとね!


余談ですが、ROHで最後にサムソンとデリラをやったのは11年前。ホセ・クーラとデニス・グレーブスでしたが、デリラが臨月のお腹でサムソンを誘惑してたのが笑えましたべーっだ!




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