昨日、19日の新聞のコーナー記事に


「正室・江」のイメージ一新


家光産まず「表向きの母」―


「嫉妬深い」「多産」覆す著書


との見出しが飛び込んできました。

興味津々で内容を読んでみると非常に面白かったので、ご紹介したいと思います。










放送中の大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』の主人公・江を巡る画期的な新説を、

九州産業大の福田千鶴教授が出版した著書二冊で打ち出した。



『江の生涯 徳川将軍家御台所の役割』(中公新書)



『徳川秀忠 江が支えた二代目将軍』(新人物往来社)







これまでの通説によれば、江は秀忠との間に家光、忠長のほか、後水尾天皇に嫁いだ和ら

七人の子を産んだとされる。さらに、秀忠が手を付けた奉公の女性が、後の会津藩主・保科

正之を産んだ時は、江の嫉妬深さから江戸城外で出産させられた――――






など、従来のイメージは「姉さん女房で勝気の恐妻」「子だくさん」「浮気を許さず、側室を置か

せなかった」といものだった。







こうした解釈に対し、福田教授は、まず家光は実子ではないとする。資料を厳密に突き合わせ



○江が秀忠と一緒にいる時間は限られる



○家光出産まで10ヶ月満たない



○江が亡くなるまで家光の誕生日が極秘とされた






―――などの根拠をあげ、分析の結果、江の実子は第一子・千、第五子・初、第七子・忠長の

三人であるとした。







家光や和には、江以外の実母が存在したことになる。当時の正室制度では、当主の子を産んだ

女性が皆「側室」になるわけではなかった。そばに使える女性=「待妾」の場合、出産後も使用人

の立場のまま仕事をしたという。



秀忠は「側室」は設けなかったが「待妾」はいたとする。そして「待妾」の産んだ子もすべて「正室」

の産んだ子として扱われた。



また「待妾」は、使用人の女性の中から正室が承認して選ぶ手続きが必要で、保科正之の実母の

場合は、秀忠がその手続きを怠り江の許可を得ていなかった。正規の「待妾」ではなく、大奥の

秩序を保つため江戸城の外で産むしかなかったと説明する。



当時の大奥の制度を踏まえれば、嫉妬心が原因ではないと分かる。嫉妬どころか、そもそも江は

そうした待妾を認めていたことになる。




大河ドラマでは「なんとしても嫡男を産んで」とプレッシャーをかけられる江が演じられた。だが福田

教授は「正室だけでは、子供を大勢産めない。世襲制度下で家を維持するため一夫多妻制は崩せ

ない。待妾の子を正室の子とし、表向きの母とすることで正室を支える制度があった」と指摘する。



待妾に嫉妬するようでは正室は務まらない。江は実子が将軍になれないという葛藤を乗り越え、

世継ぎの家光の母としての役割を全うした。自己主張を抑え、温和で優しい、夫に従順な女性として

の「御台所」の道を選んだ――― 福田教授はそう想定する。




「江に関する史料は大変少ないので、ドラマがフィクションになるのは仕方がない」と福田教授。

「しかし大河ドラマを史実通りと受け止める人は多い。特に若い人が。それは大きな問題。

『史実として分かるのはここまで』という内容を提供しようと思って本を書いた。現代的な感覚から

嫉妬深いとされたイメージを変えないと、江がかわいそうな気がする」と福田教授は話している。






という内容の記事です。

この著者の本に大変興味を持ちました。ちょっと本屋で探してみたいと思います(笑)



江の実子が三人だけで、後の将軍・家光は江の子ではないというのはちょっと衝撃ですね。

江が嫉妬心のみで秀忠に側室を持たせなかったというのも釈然としないので、待妾制度が

あり正室の子とするというのは理解できます。



なぜ、千・初・忠長の三子のみ江の子なのかというのに興味があります。



私がこの著者と同意見なのは最後のドラマについての福田教授の見解です。

確かに大河ドラマはフィクションなので脚色されるのは仕方のないものです。



今回の大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』は女性が主人公で、

主人公を演じる上野樹里ちゃんは若い世代に人気の女優さんですから、

非常に大河ドラマビギナーにとっては入り易い物語だと思います。



ですが、今回の大河ドラマは脚色が多いので、今回始めて大河ドラマを観たという

若い世代の子たちが史実として捉えてしまうことには懸念します。

(江については色々と解釈があると思うので個人的には良いと思いますが、

歴史の根幹となる内容などに脚色や簡単な描写という部分が気になります。)



昔の女性、特に江戸時代に入ると大奥という独特の文化が生まれ、そこに物語があると

思うのですが、史料が乏しくなかなか小説等の材料にもなる事が少なかった時代。

だからこそ、現代の私たちは興味を持って追究してみたくなるのかもしれません。



江についての私の知識も通説のとおりの物でした。大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』が

始まってから江関連の小説を読み、色んな解釈がされ驚きましたが、まだまだ奥が深そうですね。



大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』も終盤戦。今後の江がどのような描かれ方をするのか、

ますます楽しみになりました。