作品の出来に満足できないまま、それでも焼成を経て完成した、堂坂さんの作品。
あまり接近して撮ると「アラが目立つ」と注意されるので、ほどほどの距離から撮った作品。同じ釉薬でもいろいろな色に焼き上がった。後で聞いたところには、お母さんが使うと言ってもらわれていったそうなのだが、まだ一度も使われた形跡が無いそうだ。
その作品を筆置きにしつつ、富士山茶碗にゴム液という薬品を塗る堂坂さん。右の方にある、私の愛読書「富士山頂(新田次郎著)」の表紙絵のように、2色の釉薬で塗り分けるための作業工程なのだ。
塗ったゴム液が乾いたら、かき混ぜておいた群青色になる釉薬に全体を浸す。
ゴム液の部分は釉薬をはじいている。フィルム状になっているゴムを丁寧に剥がす。
際のところの釉薬は剥がれないように、慎重に。
感触がおもしろくて、つい夢中になってしまうこの作業。
富士山の頂の雪を表現するギザギザのラインをくっきりと出すために、細かくチェックする。
それから、先ほどかけた釉薬の上に、はみ出さないようにこれもまた慎重に撥水剤を塗ってゆく。
内側と、外側の高台付近には白い釉薬を使う。再び全体を浸す。
釉薬の塗りムラを竹べらで丁寧に補修。
釉薬掛け終了。
逆さにして見ると、ほら、頭に雪をかぶった富士山なのです。