人生とは不思議なものだ。
暴走族と言われても否定出来ない世界にいた僕が、
10年たった今、やれ環境だ、やれ未来の子ども達に、と
身を削って農業に関わっているのだから分からない。
そう、先のことは、誰にもわからない。
アップルの創業者、スティーブジョブズも言っていた。
「点と点の集まりが、人生をつくる」
「だからなんでもやってみることだ」、と。
本当にそう思う。
僕が農業に関心を持ったのも、
この美しい日本をなんとか残したい、
と考えるようになったからで、
そう考えるようになったきっかけはというと、
ラリーを転戦する中で目にしたアルプスの山々であり、
スケールの大きな北海道の大地であり、
風そよぐ阿蘇の牧草地であり、
暴走族をやらなかったら出会うことの無かった、
狭いようで広いこの国の風土そのものなのだ。
あの頃はただガムシャラだった。無我夢中で未来を追いかけた。
そのことが、今日の自分を作っている。
夢を生きるということは、
苦しさも、悲しさも、悔しさも、絶望も、
そして喜びも感動も達成感もすべてが10倍だ。
ポイント10倍の人生ゲーム。それが夢。
傷つく覚悟があるかい?
裏切られても、立ち直る強さがあるかい?
歓喜に泣き崩れる仲間がいるかい?
夢は自分が自立しているかを試す、
リスク10倍の人生のギフト。
その準備ができた者にだけ、ふと訪れる季節。
夢のない者にも四季がある。
目の前にやってくる季節を味わい尽くすなら、
新しい扉は自然と開くだろう。
僕は夢を追うことによって、
夢のない人生を生きる方法を体験することになった。
一見抜け殻のようだが、それは真実ではなかった。
「今日という日を味わい尽くす」
これが人生そのものであり、「夢をみること」そのもの。
無我夢中で趣味に没頭する。
必死のパッチで仕事をやる。
腹筋が攣るまで笑い転げる。
目の前に訪れるすべての出来事を思いっきり味わうこと。
先のことは、期待も不安もしない。考えない。
その生き方を、きっと誰かが見ていて、
あるときそっと声をかけてくれるだろう。
「あなたに頼みたいことがある」
「君はこれが向いている」
「笑顔を見ているだけで救われるよ」
それが、夢のない人生を生きる人への、リスクゼロのギフト。
その役割を生きれば、沢山の人を幸せにできる。
人を幸せにして、それを感じて幸せになるか。
自分の幸せで、人に幸せを伝えるか。
どちらを生きても、あなたの人生。あなたの自由。
僕は、ありがたく両方の人生を味わっている。
スルメのように、後から後から味がでてくる。
苦い思い出も、出汁になる。
みなさんに佳き人生があらんことを。