☆ 13/07/19~20 ☆


朝、半泣きでD病院に電話し、すがる気持ちで予約を入れると


受付「それでは、お名前をお願いします」
私「えーっと、あいです」
受付「お名前、あいちゃんですねぇ~」
私「すみません、それ私自身の名前です……(汗)」
受付「ご、ごめんなさい(汗)、猫ちゃんのお名前をお願いします」


俺、受付のお姉さんに「ちゃん」付けで呼んでもらったぜ!!
深刻極まりない状況なのにクソワロタ。受付のお姉さんありがとう。



D病院は、いかにも「総合病院です! 救急やってます!」
といった感じの殺伐とした雰囲気の病院でした。


診て頂くことになった腫瘍診断の専門家・d先生は、
とても飼い主の話を聞いて下さる方でした。
どういう考え方で、どんな治療を選び、今後どうしていきたいか
……など、こちらの気持ちを丁寧に聞いてくださいました。


するとd先生は、現状を分かりやすく簡潔に伝えて下さいました。


「A病院で聞いたと思いますが、考えられるガンは三種類
そのうち、リンパ腫なら放射線と抗がん剤が効きますが
他の二種だった場合は、どれも効かず、手の打ちようがない
治療可能なリンパ腫である可能性は5割くらい……」


ああ、そうですか……って、あれ??
A病院の院長は、他の二種のガンは放射線が効くって言ってた。
けど専門家のd先生が効かないっていうなら効かないんだろう。
えっつまりこういうこと??

A院長の意見  抗癌剤 放射線治療

リンパ腫

その他二種

×


d先生の意見  抗癌剤 放射線治療

リンパ腫

その他二種

×

×


じゃあX大学病院もD病院も同じじゃね?!


「今なら、これが何のガンであるか検査は出来ますが、
治療法がなかった場合、もう当院では何もできません。
けれど、原因を特定して可能性に賭ける選択も、
飼い主さんが納得するならば、ありだと思います。
検査料金は、A病院で提示された金額よりは安くできます」

とも、d先生は言いました。


悩んだ挙げ句、検査を依頼しました。


猫の体への検査の負担は、A病院で聞いた以上、とのこと。
本当に、猫様に対して申し訳なさしかない。



それから半日。
先生より「検査が終了した」との報告がありました。


急いで病院にむかうと、診察室のPCの前に招かれました。
神妙な顔つきのd先生。
これは覚悟した方が良いってことなのか……??
「正式な結果は一週間後ですが、僕が顕微鏡を見たところ、
リンパ腫と相反する細胞組織は見受けられませんでした」

……り、リンパ腫と相反する組織……?? って、何??
「リンパ腫で確定だろう、ってことです」
ま、まわりくでぇー!!
ついでに無表情キャラ解り辛れぇー!!
……い、いや、そんなん思ってません(ドヤ顔)。


リンパ腫ということは、治療が可能ってことですか? と訊くと
「治療は可能ですが、もちろん、効かないこともあります」
それが聞けただけでも良かった、家族に相談します。
「いや、治療は早ければ早い方が良い」
と、d先生は、今日のCT検査の結果画像を見せてくださいました。
すると……
「鼻の奥に腫瘍があるんですが、目の奥にも回り込んでいて
眼球が外に押し出されているんですよ」


 
ありえないレベルのうろおぼ絵ですが、概ねこんな感じ?!

確かに、左右の眼球の位置がはっきり違う……。
つか、以前行ったC病院の頑固先生の言う通りの位置?!
「しかも、腫瘍が脳を圧迫している状態です。
意識障害は、この圧迫によって起こっているはず」

こんなにも脳が偏っていた状態だったんだ……。
なのに、よく生きていてくれたよ……。

「正直、治療は早ければ早い方が良いです。
これほど脳が圧迫されていると、いつ大発作が起こって
死んでしまってもおかしくない状況です」

d先生は「むしろ今までなんで生きてたの??」的なニュアンスで
はっきりそう仰いました。

「今日、最も弱い抗がん剤を少量投与して、
改善するかどうか様子を見る……という選択をお勧めします。
が、どうするか決めるのは飼い主さん自身。
どの選択をしても、リスクはついてきます。
しばらく考えて、どうするか決まったら教えてください」


家で待機していた家族も含め、みんなで話し合いました。
三人寄れば文殊の智慧……ということはなく、
長い間、意見はまとまりませんでした。
オラクルカードとかも引いてみたんだぜ。

そうして出した結論は「d先生の言うとおりにしよう」でした。


その後。
数時間の治療を終えた猫様を引き取りに行くと、
心底から疲れた様子でぐったりとしたまま眠っていました……。
「このまま目を覚まさなかったらどうしよう?」
車で帰る道中、そんなことを思わずにはいられませんでした。

家に帰り、お気に入りのペットベッドに寝かせ直しました。
息はしているけれど、相変わらず目を覚ます様子はない。
もし今日が最後の日ならば、せめてお気に入りの場所で、
苦しまずに眠り続けてほしい。
こんな選択しかできない飼い主でごめんね。
せめて、猫様の15年が少しでも楽しいものであったら良いな……
私は、ペットベッドの横で、靈氣を当てながら眠りました。



朝、起きると、私の横に猫様の姿はありませんでした。
どこにいったの?!

あたりを見回すと、なんと、元通りの顔になった猫様が、
普通にご飯を食べているではありませんか!?
徘徊もしない、意識もはっきりしている、トイレも分かる……。

誰がガンだったの?! てなくらい、元気な猫になっていました。