GeForce 8シリーズとWindows Vistaの登場によって幕を開けたDirect3D 10/SM4.0だが,2008年の第2幕となるDirectX 10.1/プログラマブルシェーダ4.1(以下,SM4.1)世代ではAMDがいち早く対応。DirectX 10.1/SM4.1対応GPUとしてATI Radeon HD 3000シリーズを展開し,DirectX 10/SM4.0対応の従来製品から型番を“+1000”してきた。
 その点,NVIDIAはDirectX 10.1/SM4.1には移行しない考えを打ち出したため,本来であれば製品型番を変更する必要はないのだが,マーケティング戦略的には競合の“+1000”に対抗せざるを得ない。どうしても,GeForce 8シリーズの“次”が必要だったのだ。アーキテクチャレベルではG80から代わり映えしないG92コアをGeForce 9800/9600シリーズとして投入してきた理由は,おそらくここにある。



 そもそも,G92コアという名前もおかしい。3Dアーキテクチャレベルで変わっていない以上,本来は“G8xコア”と呼ばれるべきだ。これは,市場OEMとなるカードベンダーやPCベンダーから望まれて付けざるを得なくなったGeForce 9世代の製品型番とバランスを取るため,後付けされた製品コードネームと見るほうが自然である。実際,報道関係者向けの資料でも,GeForce 8シリーズまではG8xやG7xといったコードネーム入りの資料が多かったのだが,GeForce 9世代では,まるで箝口令が布かれたかのように語られなくなっている。こちらから確認すると,「アーキテクチャレベルではGeForce 8800 GTと同じだ」といった,歯切れの悪い回答が返ってくる状態だ。

 こうしたマーケティング事情というか,開発コードネームにまつわる混乱は過去にもあった。それは,GeForce 6シリーズまでは「NVxx」と“NV型番”で語られてきた開発コードネームが,GeForce 7800で突然「G70」と,“G型番”へ変更されたときだ。GeForce 7800とGeForce 6800は同一のアーキテクチャを採用していたが,アラド戦記 RMT,マーケティング的側面から“次世代”になって“+1000”し,DQ10 RMT,開発コードネームも一新することでイメージの仕切り直しを図ったのだ。

 2008年のグラフィックスカード市場において,ユーザーには「DirectX 10.1かDirectX 10か」という選択が突きつけられることになる。そして「DirectX 10までの対応でいいや」とGeForceファミリーを選択するときにも,などのをよく見て,型番の大小に惑わされず判断しなければならないだろう。
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