J・S・バッハ  『マニフィカト』 BWV.243 | クラシックばっか 時空間

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  今日 12月6日は、ニコラウス・アーノンクール(1929~)の誕生日である。

 ニコラウス・アーノンクール(アルノンクール)は、オーストリアの指揮者であり、バロック音楽研究家の貴族(伯爵)である。

 ドイツのベルリン出身であり、1948年よりウィーン国立音楽院(現在のウィーン国立音楽大学)でチェロを専攻し、卒業後の1952~69年まで、ウィーン交響楽団のチェロ奏者を務めた。また1953年より妻のアリス夫人らとともに、古楽器オーケストラ「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」をウィーン交響楽団のメンバーによって立ち上げ、古楽研究の成果を披露する演奏会を開き、指揮者として名声を高めた。現在はバロック作品だけでなく、ハイドンやモーツァルトの交響曲にも取り組んでいる。
 
 代表的なレコーディングとしては、モンテヴェルディのオペラや古楽演奏運動の先駆的鍵盤楽器奏者グスタフ・レオンハルト(1928~2012)と共同して取り組んだバッハの「カンタータ全曲集」、バッハの「宗教曲」、モーツァルトの「初期交響曲集」や「宗教作品全集」などがある。

 今日ご紹介する曲の題名「マニフィカト」(Magnificat)とは、「我が心、主を崇(あが)め」の意であり、キリスト教聖歌の1つである。ラテン語の典礼文の最初の1語を以ってこのように呼ばれる。テキストは、聖人ルカによる福音書の「マリア(マリヤ)の祈り」(ルカ伝第1章の46節~55節)による。

 東方教会に起源をもち、9世紀頃に西方教会にも取り入れられた。東方教会では早課に用いられるが、西方教会では晩課に用いられる。また、西方教会ではカンティクム(旧約聖書の雅歌に由来する詩編以外の聖書から採られた韻文詩による聖歌)の一つとされ、「マニフィカト」と呼ぶほか、「聖母マリアのカンティクム」とも呼ばれる。

 大バッハ(1685~1750)の『マニフィカト』は、1723年にライプツィヒに赴任した年にクリスマスの晩課のために変ホ長調(BWV.243a)で作曲されたが、これにはラテン語の通常の「マニフィカト」のテクストの間に、クリスマス用の4曲の挿入曲も入っていた。1728~31年にかけてバッハはこの作品を改訂し、これら4曲の挿入曲を除き、調性もニ長調にして現在の形に書き直した。これにより、クリスマスだけでなく、復活祭や聖霊降臨祭の晩課としても演奏できるようにする狙いがあったと思われる。(通常の演奏には本曲(BWV.243)が用いられる。)

 「マニフィカト」のラテン語テキスト原文と、和訳文は、以下の通りである。(ウィキペディアを参照しました。)

 《ラテン語テキスト》
Magnificat anima mea Dominum
Et exsultavit spiritus meus:
 in Deo salutari meo.
Quia respexit humilitatem ancillae suae:
 ecce enim ex hoc beatam
 me dicent omnes generationes.
Quia fecit mihi magna qui potens est:
 et sanctum nomen eius.
Et misericordia eius a progenie in progenies:
 timentibus eum.
Fecit potentiam in brachio suo:
 dispersit superbos mente cordis sui.
Deposuit potentes de sede:
 et exaltavit humiles.
Suscepit Israhel puerum suum:
 recordatus misericordiae suae.
Sicut locutus est ad patres nostros:
 Abraham et semini eius in saecula.

  《日本語訳》
わがこころ主をあがめ、
わが霊(れい)はわが救い主なる神を喜びまつる。
その婢女(はしため)の卑しきをも顧み給えばなり。
視(み)よ、今よりのち万世(よろずよ)の人われをさいわいとせん。
全能者われに大いなる事を為したまえばなり。
その御名は聖なり、
そのあわれみは代々、
かしこみ恐るる者に臨むなり。
神は御腕にて権力(ちから)をあらわし、
心の念(おもい)に高ぶる者を散し、
権勢(いきおい)ある者を座位(くらい)より下ろし、
いやしき者を高うし、
飢えたる者を善き物に飽かせ、
富める者を空しく去らせ給う。
また我らの先祖に告げ給いし如く、
アブラハムとその裔(すえ)とに対する
あわれみを永遠(とこしえ)に忘れじとて、
僕(しもべ)イスラエルを助けたまえり。

 大バッハ作曲の本『マニフィカト』BWV.243 は、全12曲からなり、ルカ伝第1章の46節~55節「マリアの祈り(賛歌)」の後、第12曲(最終曲)で祈りの言葉「父に栄光あれ。子に栄光あれ。聖霊に栄光あれ。始めにありし如く、今もそしてこれからも ずっと終わりなき世界に。アーメン」(Gloria Patri;Gloria Filio; Gloria et Spiritui Snncto.  sicut erat in principio, et nunc et semper, et in saecula saeculorum. Amen )が歌われ、祝祭的な雰囲気の中に、曲がまとめられる。なお、全12曲の楽曲構成は以下の通りであり、独唱及び合唱は、ソプラノⅠ、ソプラノⅡ、アルト、テノール、バスの5部からなる。

・第1曲:(合唱)”Magnificat anima mea”
        「マニフィカト」
         ニ長調 4/4拍子
・第2曲:(ソプラノⅡ)アリア ”Et exsultavit”
        「エト・エクスラヴィト」
         ニ長調 3/8拍子
・第3曲:(ソプラノⅠ)アリア ”Quia respexit”
        「クイア・レスペクスィト」
         ロ短調 4/4拍子 
         (休みなく第4曲に続く。)
・第4曲:(合唱)”Omnes generationes”
        「オムネス・ゲネラツィオネス」
         ヘ短調 4/4拍子
・第5曲:(バス)Aria”Quia fecit”
        「クイア・フェチト」イ長調 3/4拍子
・第6曲:(アルト&テノール)二重唱 ”Et misericordia”
        「エト・ミゼリコルディア」
         ホ短調 12/8拍子
・第7曲:(合唱)”Fecit potentiam”
        「フェチト・ポテンツィアム」
         ト長調 4/4拍子
・第8曲:(テノール)アリア ”Deposuit”
        「デポスイト」嬰ヘ短調 3/4拍子
・第9曲:(アルト)アリア ”Esurientes”
        「エスリエンテス」ホ長調 4/4拍子
・第10曲:(ソプラノⅠ、Ⅱ、アルト)三重唱 ”Suscepit Israel”
        「スシピト・イスラエル」ロ短調 3/4拍子
・第11曲:(合唱)”Sicut locutus est”
        「スイクト・ロクトゥス」ニ長調 2/2拍子
・第12曲:(合唱)”Gloria patri”
        「グローリア」
         イ長調 4/4拍子 - ニ長調 3/4拍子


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                        (演奏時間:約28分)
□動画1□ アーノンクール指揮
■動画1■ 『マニフィカト』BWV.243 □ ▶ Bach Magnificat BWV 243 Schäfer, Fink, Korondi, Bostridge, Maltman, Nikolaus Harnoncourt - YouTube


□動画2□(同上演奏)
■動画2■(同上演奏) 『マニフィカト』BWV.243 □ ▶ Bach : Magnificat in D Major BWV 243 - YouTube


□動画3□(同上演奏)
■動画3■(同上演奏) 『マニフィカト』BWV.243 □ ▶ Bach - Magnificat in D major, BWV 243 - Harnoncourt - YouTube


ドイツ連邦  10マルク  2000年発行
「J.S.バッハ 没250年」