- アーティスト: 天野正道, 阿野次男, 川越奏和奏友会吹奏楽団, 林・紀人
- タイトル: 天野正道作品集「おほなゐ~1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ~」
- 「おほなゐ」とは大地震を表す日本の古語だそうです。
- もう10年も前のことになるのかと思うくらい,今でも生々しく思い出すことができます。
- 阪神淡路大震災。
この仕事を始めるまではずっと思っていたことがあります。
「平和教育で戦争や原爆の話ばかりしていても,埒があかないのではないか」
何か大きな悲しい出来事が起こるたび,そのことを考えていました。
この曲は,1度ステージで吹く機会があったのですが,第三楽章「復興そして祈り」だけでした。
第三楽章は本当に未来と現実とを希望でつなぐような,そんな曲だったのですが。
練習の途中で第一・二楽章を聴く機会がありました。
音楽を聴いて,体から血の気が引き,凍りつくような感覚でした。
全てを想像してしまうのです。見えるんです。
怖いとか,そういうものじゃないんです。絶望という言葉しか当てはまらないのです。
阪神淡路大震災を風化させないために、陸上自衛隊東部方面音楽隊隊長の岡野敬三氏の委嘱により作曲されたこの曲は、岡野隊長と隊員たちの発案され,命名されました。
助けられなかった悔しさや,ほんの小さな希望さえ見失ってしまいそうになる不安感を本当に,
周りの人のドラマまで感じ取った人たちによって作られたこの曲は,
どの報道より,どの書物よりもリアルでした。
あぁ,これが「心が動く」ということなのだ。
これから私たちは,そういう仕事をしなければならないのではないかと思うのです。
ただ知らせるのではなく,実感のこもった形で,何か伝えなければ。
原点はここにあるのかもしれない。
ふと思い出したこの曲は,本当に心に響くものです。
そういうものをつくりたい。
さぁ,そろそろ本格始動です。