高知のタブーを行く | マッド・アマノのパロディー・ブログ

高知のタブーを行く

「ハメッシュってなに?限界集落支える3種のジビエ」。
少しばかり難しい見出しだ。副題は「自由の深淵、高知のタブーを歩く」。こちらの方が分かりやすいが、ここでも「タブーとは?」と疑問符がつく。
 HUFF POST SOCIETYという硬派のブログに投稿された記事だ。
 6回連載の一回目が配信されているので是非ご覧いただきたい。http://www.huffingtonpost.jp/jcej/hameshu_b_5401745.html?utm_hp_ref=japan-society
 実は朝日新聞のデスク依光隆明氏から記事の拡散を頼まれた。依光氏とはある会合で知り合い、拙著「原発のカラクリ」(鹿砦社)を贈呈させていただいて以来、メール交信などをする関係だ。依光氏がリーダーとして原発事故を長期に渡って本紙に連載している「プロメテウスの罠」は自他ともに許す素晴らしい内容だ。同名の本がGakkenより7巻目が発売されている。今回のレポートは依光班の作品だ。
 
 ブログの冒頭に連載内容の要約がある。
(引用、ここから)
【連載】自由の深淵、高知のタブーを歩く
 全国屈指の貧乏県ながら、陽光さんさん人みな 明るく自由があふれ...。そんな高知県には幾つかのタブーがある。いや、正確にはタブーとはいえまい。都会的価値観から見るとタブーかもしれないが、高 知県的自由価値観では普通の光景なのである。たとえばそれは集落が絶滅しつつある現実であり、公的ギャンブルでありながら財政貢献はしていないという問題 であり...。法を無視して造ったマンションが超人気という「ここって本当に日本?」的な風景もある。東京育ちの若手ライター3人が自由の地、高知を歩いた。 
 高知市中心部の観光名所、日曜市から北に1時間ほど車を走らせた山あいに大川村がある。この村、実は行政関係者や学者の間ではけっこうその名を知ら れている。離島を除くと日本で最も人口が少ないうえに、住民の約半数が65歳以上。つまり過疎、少子高齢化のトップランナーなのである。頭に浮かぶのは灰 色の風景だ。限界から消滅へと向かう老人集落が点在し、背中の曲がった暗い表情のお年寄りが寂しげに生きる。そんなイメージで取材に向かった現地の実態 は...住民たちは驚くべき元気と活力を発していた。 (取材・文・写真/小林陽彦)
(引用、ここまで)
 かつて4000人超の人口が今はなんと365人にまで減少しているという。10年間で71%もの住民が他所へ流出した。
 データだけを見ると過疎地の典型だが、村に入ってみると先入観は覆された。
 村の通りの一番手前にある明坂商店の明坂静子さんの話が面白い。
 静子さんには51歳の息子がいる。類推すれば恐らく80歳前後だろう。その静子さんは背筋がピンとしていてピチピチ肌で若々しく元気はつらつなのだ。昨年11月には山作業で足を滑らせて転倒、脊髄を骨折したが、手術もせず今年3月には治ったという。
 静子さんの健康の秘訣のひとつにマムシの酒がある。「ハメッシュ」のハメとはマムシの方言、「ハメ」「ハミ」「ハブ」と同源。「ハメ酒」がなまったもの。山で捕ってきたマムシを酒に 漬け、いわば万能薬的に飲んでいるらしい。さらに生の肝を飲んだり、身を串刺しにして火で炙ってかじったりする。白焼きをすり鉢で粉末にして、ご飯にふりかけるのが一般的で、筋肉系の回復やリウマチなどに効くと伝えられている。
 さらに静子さんはタヌキの油が熱冷ましなどに効くと話す。薄いノートすら持てないほど手が不自由な静子さんの友人が膠原病に罹った際、保健所で医者からタヌキの油が良いと勧められた。友人はタヌキ油を摂取し続けたおかげで全快した。いやそれどころか癌にも効くのだという。
 これを読んで私は依光氏にメールした。実は私の妻は変形性関節症(へバーデン結節)の疑いがある。
変形性関節症は関節軟骨がすり減って、関節の変形や痛みを生じる状態。
関節を覆っている軟骨に老化現象が起こることが原因で、特に指先を酷使する人に起きやすいと言われている。  特徴としては指の先端の関節に変形性関節症が起こりやすく、関節の腫れと痛みが現れ、進行していくと物がつかめなくなってしまう。妻は若い頃、長年に渡って彫金を制作していた。ガスバーナーや細いヤスリを持って仕上げ作業を一日、3時間以上続けたことが指への疲労に繋がったのかもしれない。医者に診てもらったのだが適切な治療法はない。タヌキ油の入手方法を依光氏に尋ねた所「家にひとつ残っているので送りましょう」との返事をいただいた。市販していないものだけに、これほどありがたいことはない。
 記者の小林氏は民間療法の効能の真意を確かめるため高知県の医事・業務課に電話した。担当者は「「驚愕の話ですね。一部では漢方に用いられるマムシはまだしも、タヌキの油に関しては局方(医薬品の基準を定めた文書)にすら載っていない。薬事法で無許可の医薬品になると、取り締まりの対象になります。グレーゾーンを地でいく感じです」と素っ気ない返事。 
 「医学の理屈や常識を超越した山の秘薬とでも言おうか。山あいの集落の、とてつもない自由に触れた気がした。」と小林記者は言う。
 次回が楽しみなレポートだ。あらためて、みなさんの一読をおすすめしたい。
タヌキ油