バスに乗るまで迷っていた。
テンションも低いが体調も悪い。
これであの人ごみの中を歩けるのかと心配したり
家を空けている間に地震が起きて、帰ったら家が無くなっていた、なんてどうしようとか
いらんコト考えながら、結局は乗った。
バスから眺める景色は、電車や車とは違う。
目に映る、知る人知らない人の、持つ時間とか生き死にまでがひとつひとつ見えてくるようで、そんな感慨とも感傷ともつかないものを相手にしてしまうと、どうしても涙目。
・・・そんな地の底テンションで新宿なんか歩くな!
さっさと最終目的地へ移動。
中野ZERO。
またここに来ようとは思わなかったな。
中野というところは、その昔母が住んでいた街だ。
一度案内された事もある。もう住所も忘れたし、今さら訪ねようとも思わないけど、そんな場所へ自ら足を運ぶのが初めてじゃないというところがまたなんとも・・・
ホール前の開場待ちの列に並ぶと、どこからかとても好きな音が聴こえてくる。
見回すと、列の遥か後方で、長い木の棒を両手に抱えた人…あれがディジュリドゥか。
どこかで聴いたことがある・・・
「音入れ」のライヴは始まってすぐに「これテクノだ」と思った。
どちらも天然素材楽器だけど(それじゃテクノと言わないか・笑)、よくこんなフレーズ聴いてるもん。
勿論こっちの方がカッコイイけど。
開演前の主催者側の挨拶で、Tokyo Pros.の青木さんは
『彼がなぜ自殺をしたのかを人に聞いた時、その質問が自分にとって意味が無くなった』
といったようなことを話していた。
彼が生きていた間に発したメッセージを受け取ることの方が大事だと。
確かにそうだろう。
映画の中で彼が話す
『人は一旦、死を迎えて生まれてくる。母親の胎内から出て、へその緒を断ち切られることで死を迎え、そしてこの世界では目に見えない呼吸という新しい“へその緒”を与えられて、この呼吸が止まるまでの間を生きる』
生と死は繰り返し・・・
そんな話ができる人がなぜ?と同じ疑問が噴き出してくる。
彼にとっては、ここも、向こうも、同じってこと?
「地球交響曲第二番」には4人の人物が登場する。
佐藤初女
フランク・ドレイク
ダライ・ラマ
そしてジャック・マイヨール。
どの方も、言葉は違えど、言わんとする処は共通している。
今、という時が一番大切だと。すべてだと。
グラン・ブルーの世界で聴こえるという音を彼は教えてくれた。
最初に聴いた、ディジュリドゥと同じ、優しい音だった。
(Tokyo Pros 『地球交響曲』上映会 featuring 音入れ)
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