大阪に来たので、姫路まで足をのばしてみた。
帰りの飛行機もあるので、あまりゆっくりはできないが、梅田から阪神電車に飛び乗った。
電車は高架でビルの間を駆け抜け、やがて地平に降りて家の間を縫って走る。神戸を地下でくぐり、山陽電鉄に入ると海が見え風光明媚な景色となる。
東京に住む人間には、なにかノスタルジーを感じる。さっきまで混んでいた車内も人がまばら。学校帰りの女子学生のやさしい関西弁のお喋りも、とても落ち着く雰囲気にさせてくれる。
姫路という地は初めての地。大阪から電車でどれくらいかかるかもわからないのに、電車に飛び乗ったのは少し無謀かも。
姫路にいく目的は「姫路モノレール」。
昭和41年に開催された姫路大博覧会に合わせて開業し、その後わずかで廃止になってしまった。その存在をネットで知ったが、もう遠い昔の話で乗るどころか、見ることもできないと思っていた。
ところが数年前、終点の手柄山にはまだモノレールの車両が保存されており、ホームも営業時のまま残されているのが公開された。そして手柄山交流ステーションのモノレール展示室として整備され、通年一般公開されるようになった。
今回、姫路を訪れられたのは千載一遇のチャンス。手柄山の駅はチベットのポタラ宮を思い起こす。山の中から飛び出たモノレールは大将軍駅では高層アパートの3、4階部分のホームに入る。博覧会に合わせて、近未来を感じさせる演出だったと思う。
そして、ロッキード式のモノレールは子供のころ乗った向ヶ丘遊園のモノレールと同じ。向ヶ丘遊園に行くわずかな時間の空中散歩。あのクロスシートの車内。特別な空間だった。姫路モノレールも赤いモケットのボックスシート、横引きのカーテン。優雅な空間だ。
姫路モノレールを訪れ、初めての場所なのに懐かしいのは、あの向ヶ丘遊園のモノレールを思い出したこともあった。