『奇跡体験!アンビリバボー』 シリアルキラーの渇望 | パンデモニウム

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※何度かのブログフォーマット変更により改行ポイントがずれてしまい、ほとんどのページがガタガタになっております。
読み難くて申し訳ないです。

世界を騒がせたイケメン殺人犯


1990年9月15日。その男が釈放されてから数ヶ月後・・・

チェコ・プラハで、二人の登山客が女性の遺体を発見。

彼女は自らの衣服で首を絞められ殺されていた。

3か月後、隣国オーストリアの森の中で女性の遺体が発見された。

更に、翌年の1月にも女性の遺体が発見されたのだ。
三件共、被害者の衣服で絞殺されていること、その結び目に特徴が有る事から

同一犯の犯行と思われた。

この時、警察が発見していた、赤い繊維。

犯人が身につけていたものの可能性が高かったが、当時の科学捜査では犯人を

特定するには至らなかった。


そんな中、ウィーンの警察署長の元に一人の男が訪ねてきた。

その男は、オーストリアの放送局に勤め、リポーターをしているという。

一連の事件の取材にやってきたのだ。
数日後、その警察署長に、引退した刑事オーガスト・シェンナーから電話が。

シェンナー元刑事は、一連の殺人事件の犯人はジャック・ウンターヴェガーだと

言う。

その男こそ、警察署長を訪ねてきたリポーター、釈放された殺人犯だった!


 ↓ 画像は全て NAVER より


パンデモニウム-ジャック・ウンターヴェーゲル01


15年前、ジャックは18歳の女性とバーに向かっていたのだが、彼女は暴行を

受け、無惨にも殺された。殺人罪でジャックは逮捕された。
ジャックは殺人を犯す以前も、暴力事件や窃盗を繰り返し、何度も逮捕されて

いた。

ジャックには、当時のオーストリアで一番重い、無期懲役刑が言い渡され、

シュタイン刑務所に収監された。


ジャックは、殆ど読み書きが出来なかったが、10年かけて図書館の全ての本を

読破。
文学の世界に魅了されていったジャックは、自伝を執筆する。

1952年、彼はウィーンに生まれた。

両親の離婚後、母親に捨てられ、祖父に引き取られたのだが、その祖父は

女遊びが絶えなかったという。

自伝『煉獄』はベストセラーになり、オーストリアで権威のある文学賞で新人賞

にも輝いた。その後、ジャックは児童書を執筆。

作品はラジオで放送されるなど、様々なメディアで取り上げられた。
心温まる作品を書くジャックは、愛に溢れた人間だと思われるようになった。

いつしか殺人犯というより、作家としての地位を確立したのだ。


そして1990年、3人の著名な詩人が彼の特赦を求める署名を集め、刑務所で勤勉

だったことも評価され、ジャックは無期懲役刑を15年で終了、異例の出所を

果したのだ。

出所したジャックは作家の他、多くのテレビ組やラジオ番組に出演していた。

甘いマスクと理路整然とした物言い、不遇な生い立ちからの奇跡の更正例として

多くの国民の支持を集めた。

ジャックの人気は留まる所を知らず、何と写真集まで発売された。

彼はリポーターとしても活躍、警察署長を訪ねたのもその一環だった。


 ↓ ホントに狩野英孝みたいなスーツ


パンデモニウム-ジャック・ウンターヴェーゲル02

 

一ヶ月後、アメリカのFBIから連絡が届いたことで、事態は一変する。

僅か一ヶ月の間に3人の女性の遺体が立て続けに発見されたという。

それは、オーストリアで起きている事件と非常に良く似た犯行手口だった。

その頃、ジャックも取材でロサンゼルスに訪れていたのだ。

更に、遺体発見場所とジャックの宿泊していたホテルは目と鼻の先、全ての事件

でジャックにはアリバイが無かった・・・

しかし、決定的な証拠がないため、逮捕状がとれない。

そんな警察を嘲笑うかの様に、死後数ヶ月経った女性の遺体が発見された。

首には、被害者の衣服が特殊な結び方で巻き付けられていた。

警察は同様の手口であること、そしてアリバイがないことを理由に逮捕状を請求、

ジャックの拘束に踏み切った。

しかし、ジャックは既に逃亡を図っており、数ヶ月経っても依然としてジャックの

行方を掴めずにいた。
そんな中、何と逃亡中のジャックが電話でラジオ出演、一方的に無実を主張し、

再び行方をくらました。


1992年2月26日、ジャック・ウンターヴェガーは逃亡先のアメリカ・マイアミで逮捕

された。



パンデモニウム-ジャック・ウンターヴェーゲル03

1994年4月、裁判が始まった。ジャックには、3都市における計11件の殺人容疑が

掛けられていた。

ジャックは、被害者の女性達との面識は一切ないと疑惑を否定した。
しかし、4年前に殺された被害者の衣服付着していた赤い繊維が、ジャックの自宅

から見つかった赤いマフラーの繊維と完全に一致した。

更に、ジャックが処分しようとしていた車の後部座席から毛髪が発見され、

DNA検査の結果、チェコで殺された女性のものと判明した。
被害者との面識を否定していたジャック、DNAの一致は決定的な証拠として採用

された。

判決は、終身刑だった。


ジャック・ウンターヴェガーはなぜ、再び犯罪を繰り返したのだろうか?

母親に捨てられ、唯一のよりどころだった祖父も女性に奪われた。

ジャックはいつしか女性を敵視するようになっていったのではないだろうか?
だが、ジャックの口から真相が語られる事は無かった。

1994年6月29日、ジャックは判決から24時間も立たない内に拘置所の中で自殺

したのだ。

首を吊った時の結び目は、彼が女性達の首を絞めた時と一緒だった・・・。



ジャック・ウンターヴェガー(Jack Unterweger:ウンターヴェーゲルという表記も。

こちらの方がオーストリアの公用語であるドイツ語読みに近いと思いますが、

番組表記に従いました)は、これだけマスメディアにも登場したにも拘わらず、

何故かシリアルキラーとしてはあまり有名とは言えません。

彼は、知能が高く(恐らく収監まで教育の機会が無かったと思われ)、カリスマ性

が有り、理論的に考える事が出来、芸術家肌でもある、「秩序型」です。

また、死体を隠そうともしていない事や、逃亡中のラジオ出演など、自己顕示欲

強さが窺えます。

番組で触れられた様に、幼少期の体験が影響しているのは間違い無いでしょう

が、女性への憤怒だけでは無く、(執拗に絞殺にこだわっていることから)

快楽殺人の側面が有るような気がします。

だからこそ、社会的地位を手に入れても、自分を止める事が出来なかったのでは

ないでしょうか?


マスメディアに登場する殺人犯と云えば、日本でもパリ人肉事件佐川一政

(いっせい)氏が、著作を発表したり、テレビに登場したりしてました。







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