作者は、京極夏彦・平山夢明・福澤徹三・飴村行・黒史郎・長島槇子・水沫流人・
岡部えつ・松谷みよこ・東雅夫 各氏です。
『幽 vol.11』に組まれた厠の怪談特集3作(加筆・訂正されています)に書下ろし
7作で構成されています。
内容は副題通りなのですが、このテーマでのアンソロジーはありそうでなかなか
お目に掛かりません。あっても学校の怪談で「トイレの花子さん」などをまとめた
都市伝説、又は今で言う実話系ではないでしょうか。
勿論、語られる機会が少ないのではなく、怪異が起こる舞台としては定番と言っ
て良いかと思われます。しかし、「御不浄」という言い方もある様に、怪異の有無
とは別の要因で、語られること自体が「はばから」れるのかもしれません。
トイレではなく、厠、便所であるのは、明確な定義は無いでしょうが、そこから想起
されるのが、先ず汲み取り式(いわゆる「ぼっとん」)、みかん色の電球、ちり紙と
いった様式に、(今となっては)田舎やノスタルジーなどの要素が加わるから
でしょう。
私が子供の頃は正にコレでした。カマドウマが這い(そういえば最近見ないなあ)、
クモが張り、天井の通風孔からは時々 天井裏を巡回中の飼い猫がコンニチハ
するのでした。(((゜д゜;)))
本書における恐怖は、当然、五感の中でも特に嗅覚、視覚(夜は薄昏いし、視界
は制限される)に訴えかけてくるし、外界から隔絶されるシチュエーションに想像
力が膨らみ、下半身を露出するのでセクシャルな要素も加味されます。
読後感は、京極夏彦さんの『厭な小説』に似ているとも感じました。
ちなみに私が「便所のモノ」のイメージを強烈に植え付けられたのは、ドリフター
ズの『8時だョ!全員集合』のコントで、志村けんさんの尻を撫で回す青白い手
・・・アレでした(;^ω^A
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