どわすれ | もう、わけわかんないね

どわすれ

 時たま、ど忘れをしてしまうことがある。


 例えば、昨日はコンタクトレンズのはずし方を思い出せず。

 数十分鏡とにらめっこしながら、悶絶した。

 本当に本当に、どうやってやっていたのかさっぱり思い出せなかった。

 だから、とりあえず。

 レンズを直接指の腹で摘んで取り出そうという結論に達したのだが。

 如何せん。

 取れない。

 怖くて、左目の分を外そうとするが手が震える。

 理由は明白だ。

 黒目は目のほぼ中央にポジショニングし、鏡をとおして目が合った状態で取り出そうとしたのだ。

 しかも、左目だから左手ではずそうとするのだが。

 如何せん右利きのうえに、左はほとんど意思に忠実に動かすことが出来ない。

 こわいよこわいよこわいよ


 正しいコンタクトレンズのはずし方(ソフトver.)

1.黒目は上を向くようにポジショニング

2.利き手の中指で下まぶたを下げる

3.利き手の親指と人差し指でレンズの下の端を軽く摘んではずす


どおりで。

 勝手な結論は少なくとも二つの点で間違っていたようだ。

 まず、黒目は上。

 次に、利き手ではずす。

 もうほとんど間違っている。

 実際。

 ぎゃー。爪が!爪が迫ってくる!!

と1人で悶絶したんだしね。


 普段当たり前にやっていることが出来なくなるのはよくあることで。


 同様に。

 ドアの開け方と通り方とかもわりとよくわからなくなる。

 これは、引き戸と引いて開くタイプのドアのときに良く起こる。


 引き戸のときは、通りきれるくらいの間隔が空く前に突っ込んで行って。

 戸にぶち当たる。


 引くタイプのドアのときも似た感じだが。

 ドアを引くと同時に入ろうとして、真正面からドアのふちに自ら突っ込んでいく。


 引き戸は面でぶつかるからまだなんとかならないこともないときもあるけど。

 引くタイプのドアの場合は往々にして縁がもうほとんど角としてぶつかってくる。

 否。

 正確に言うと、ぶつかっていくのが正しい。


 そんな感じで、目測とそれに見合ったからだの移動が苦手だ。


 ただ単に廊下や通路を歩いていても。

 どのくらい壁から距離をとって歩けばいいのか良くわからず。

 ばんばん体をぶつけながら無表情で歩く姿は、最早、ホラーだ。


 ドアの無いタイプの入口などでも。

 縁にぶつからないことの方が実は多いのかもしれない。

 手などをぶつけるならまだ軽い方で。

 たまに、頭からぶつかるときがある。

 しっかり前を見て歩いているのに。


 そんなだから、前を見ずに歩いているときなんかは。

 平気でドアでもなんでもないただの壁に突っ込んでいく。


 かつては、歩いていて特になにも避けるものなどありもしないのに。

 少し方向を変えた結果。

 電柱にぶつかった。

 生身で。

 自転車や車だったわけではない。

 しかも、何故か電柱に向かって謝った。


 ベッドにダイブすることも少なからずあるのだが。

 一度ベッドにダイブするつもりが飛びすぎて、頭から壁に突っ込んだ。

 さらに、悪いときにはなぜか、頭からダイブして首をやってしまった。




 どわすれの話に戻るが。

 たまに、家への帰り方をとんと思い出せず。

 かなり考え込むこともある。

 場所は思い出せる気もするんだが、帰り方がわからない。


 そんな私は、自転車で通勤・通学をして。

 徒歩で帰宅することもしばしばだ。

 しかも、自転車がないと気がつくのは大抵、次に乗ろうとしたときだけなので。



 まったく。


 なんだってこんなにどわすれが激しいんだろうか。