初恋の人からの手紙

初恋の人から手紙が届きました。

マスター、ひさしぶり。
今でもデートのたびに水筒を持っていますか？当時、おばちゃんみたいだったマスターをなつかしく思います。

少し上からものを言うマスターが「スタイルだけは一流だな」などと失言してお別れすることになったあの日から、もう17年が経ったのですね。月日が流れるのは早いものです。

あ、そうそう、お手紙を書いたのには特に理由はないんです。ただ部屋の掃除をしていたらマスターからの昔の手紙が出てきたから、なつかしくなって。びっくりさせてごめんなさい。

思い返してみると、あのころはマスターはとても優しくて、大人びていたなぁと思います。私は素直になれなかったから、平気で「マスターはどうせ胸さえ大きければいいんだよね！」なんて責めるようなことを言ったけど、マスターは「そんなことはないよ。カラダ全体が大事だよ」って優しく諭してくれたのを覚えています。少しヒドイと思ったけれど今でも心に響いています。

私にとっては8人目の彼氏でしたが、そういえばマスターにとっては初恋の相手が私でしたよね。最初のころのマスターはキスすら歯に当てる下手さでがっかりしたものですが、最終的には妙に自信をつけていましたね。勘違いとは恐ろしいものです。

まだ付き合いはじめでラブラブだったころ、マスターは「おれは10人ぐらいと付き合った後に、おまえと結婚してやってもいいよ」と言ってくれましたね。人間性もどうかと思いますし、あのころは「マスターが10人と付き合えるのっていつだろうか」と不安になりましたが、その後どうですか？

私はマスターと付き合えたことが、本当に自分のためになったと実感しています。特に「男の優しさに期待してはいけない」ということを学ぶことができたし、強く一人で生きる術を教えてもらえたと思います。どうもありがとう。

いろいろ書きましたが、私はマスターが大好きでした。これからもマスターらしさを失わず、あと臭いジーパンは洗うようにして（笑）、新しい誰かと幸せになってください。

またいつか会いましょう。では。

P.S. よく「おれは爪の白い部分が広い！」って見せ付けてきましたよね。どうでもいいけど…。

『初恋の人からの手紙』 やってみてね。