技術評論社で“古生物ミステリー”がはじまりました:第1巻は、エディアカラ紀とカンブリア紀 | 化石の日々

化石の日々

オフィス ジオパレオント代表のサイエンスライター 土屋健の公式ブログです。
化石に関する話題,ときどき地球科学,その他雑多な話題を書いていきます。

技術評論社から「古生物ミステリー」の裏シリーズ名をもつ、
「生物ミステリープロ」がスタート!
一定の地質時代ごとに、古生物のさまざまなトピックをまとめていく、とってもマニアックな本です(マニアックな内容ですが、難易度は一般向けを意識してはいます)。
幸運にも、土屋がその執筆を担当することができました。

その第1弾として、『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』と『オルドビス紀・シルル紀の生物』が同時刊行。今日は、『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』について紹介します。



本書のはじめに、でも触れているのですが、実はもともと古巣を退社しようと決めた時から、この本の構想は私自身でももっていました。
「恐竜も面白いけど、ほかにも面白い古生物はいっぱいいるよ」というのが在社時代(いや、学生時代)からの持論でして、その突破口にと考えていたのが、カンブリア紀の生物たちです。
自分で論文を集め、親しくさせていただいている研究者の方に相談しながら執筆を進め、ほぼ形になったところで、まったくそれまで接点のなかった技術評論社さんからお声がけいただいたのが本書です。

本書の具体的な内容については、
技術評論社さんのwebサイト で目次がご覧になれます。

本書には、実に大胆且つ贅沢に化石の標本画像が掲載されています。
少なくとも邦訳本で、ここまでディープに化石の標本画像を掲載している一般書籍を私は知りません。しかもオールカラー。

表紙を飾っているのは、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館のアノマロカリス標本です。
業界の方は察せられているかと思いますが、表紙にこの標本画像を(しかも切り抜きで)使うために、それなりの許可を頂いています。
内部にはロイヤル・オンタリオ博物館の協力(強力?)で、多くのバージェス標本画像が掲載されています。
さらに、中国の研究者からは、アノマロカリス・サーロン(Anomalocaris saron)をはじめとする惚れ惚れするような画像をいくつもお借りすることができました。
ドイツからは、オルステン動物群の微化石画像を借りています。
また、三葉虫に関しては、ATS社の友人に尽力してもらって、ここ数年の稀少な標本をまわしてもらい、それを撮影して掲載することができました。
などなど、本当に多くの世界中の方々から画像をお借りできました。
本当にありがたいです。Thank you so much!!

執筆者としては文をお楽しみ頂きたいのは山々なのですが、それ以前にこの標本画像を眺めて頂くだけでも販売価格以上の価値はあると思う次第です。

そして、全編カラーをいかして、えるしまさくさんのイラストが彩り豊かに添えられています。よくある洋書の邦訳本にあるような「名前だけ出てくるけど、古生物の姿が分からない」ということがないように、えるしまさんには本当に多数のイラストを描いていただきました。
シーンイラストは、小堀文彦さんによるものです。
そして、カバーを含む、全体のスタイリッシュなデザインは、WSB inc.の横山明彦さんによるものです。

総監修は群馬県立自然史博物館。
そして、JAMSTECの田中源吾さん、東京大学の遠藤一佳教授に、とくにご協力頂いています。本当にありがとうございました。

編集は、技術評論社の大倉さんをはじめ、Do&Doプランニングの小杉みのりさん、伊藤あずささんです。編集の皆さんには、私の「あの画像が欲しい」「この画像は高解像度で」という、半ば(いや、かなり?)無茶なお願いで、いろいろとご苦労をおかけしました。

この本で、古生物のもつシンプルな面白さを味わって頂ければと思う次第です。
古生物ファンのみなさんにお楽しみ頂くことはもとより、
これをきっかけに古生物に興味をもっていただける人を少しでも増やせれば、執筆者としてはこれに勝る喜びはありません。

ぜひ、ご一読ください。
ハードカバーで糸がかり製本、スピン付きという贅沢な仕様です。

ご注文はこちらからポチッと。

Amazon.co,jp


【誤植のお詫び】
スタッフ一同で何度も推敲したにも関わらず、刊行日前に下記の誤植を発見致しました。
・p46,p54,p58,p69,p86,p100,p106などで
  【触角】と表記すべきところを【触覚】としています。正しくは【触角】です。
・p114
 妙な具合に「たとえば」の文字が残っています。執筆者としては、ここは「たとえば」がない文が本来の意図です。
以上、お詫び申し上げます。