エレクトロボイス205-8Aを使ったスピーカーの中身を一挙公開! | パカッと割ると中はホワイトホールだぜ!

エレクトロボイス205-8Aを使ったスピーカーの中身を一挙公開!

今年の1月だったか2月だったか、
神戸三ノ宮のジャズ喫茶でアルテックを聞いたとき、あまりの凄まじさに言葉失う。
それから数回、あの音を聞きにジャムジャムへ。

んっ?
そういやぁ、エレクトロヴォイスの205-8Aがあったよな。
あれで俺もアルテック風のを作ろう!
やっぱアルテックとなると、モデルはA5やA7を思い浮かべますよね。
そう、あのごっついフロントロードホーンですな!
205は10センチだけど、かっこだけはA5でいこう!
205は最低振動周波数が100ヘルツくらいだから、低音は望めないけど
そのへんはボックスをダブルバスレフにでもするなりして、低音を稼ぐか。
ま、音のビミョーな違いなんて聞き分けれっこないんだから、こまかいことは置いといて、
とにかくフロントロードだ!

で、さっそく構想を。
基本は、サブロクの板一枚で二本分。 ※サブロク=三尺×六尺(910ミリ×1820ミリ)
理由は、安上がりだから。
そもそもユニットが安もんだから、それに贅沢な箱を用意するってのもね。
しかも今回はMDFを使います。
ただ、このユニット、どこを探しても(ネット上をね)エンクロージャ(スピーカーの箱のこと)設計するに必要なデータがない。
もちろん、外形寸法なんかはあるんですが、バスレフ計算に必要なm0とかQtsといったような数値がないんですよね。
だから、テキトーに寸法を決めるしかありません。
いや、ほんとにテキトーに描いちゃいました。



FO-01

<正面および断面図>

205-8Aユニットを使った
フロントロードホーン+ダブルバスレフの贅沢な設計。
第一ダクト、第二ダクト、それぞれテキトーに描いた。
ホーン長もテキトー。
キャビネット容量ももちろんテキトー。
要はすべてテキトー。
見た目とコストが最優先。



CADを使って簡単な図面と板取図を描いた。
で、その図面を持って東急ハンズへ。
前にもそこで頼んだんだけど、精度は充分でてましたから今回もそこで。
が、しかし!
MDFの18ミリ厚のって、サブロク置いてない!
初めて知った。(三ノ宮の東急ハンズには置いてないだけかな?)
しかたないから、その場で急遽図面変更。
600×900の板で作成できるよう、各所の寸法を修正。(ここで1箇所修正忘れがあって、あとで自分でカット)


今回のポイントは、なんと言ってもホーン部分。
ほんとなら、放物線状にすればいいんだけど、そんなことはできるはずがない。
ま、道具とテクニックを駆使すれば、素人でもそれなりのもんはできるんだろうけど、
残念ながらやる気はあるけど、道具もテクニックもない俺にできるわけがない。
へたにやりかけて後で痛い目にあるのはごめんだから、ここは無難に直線カットだけでできるように工夫した。



FO-02

<ホーン部断面図>




FO-03
<ホーン部イメージ>

この上に天板がつく。



FO-05

<ホーン部>

実物はこれ。
まずは組めるところから順に組んでいく。
組んだあとからでは塗装しにくい部分は
あらかじめ塗っておく。


今回使用した塗料はワシンの水性ポアステインのオリーブブラック。

フツーのブラックでもよかったんだけど、それじゃちょっと味気ないからあえてオリーブ。

MFDは色のりが悪いのか、すぐに透ける。

コグチにはワシンの微粉末とのこを塗ってサンドペーパーの240番で研磨してから塗装。

結局、5回以上は重ね塗り。


組みあげていく。

バッフルのユニットがつく部分にはあらかじめM4の鬼目ナットを仕込んでおく。

で、組みあがったあとで全体を塗装。

ユニットはそれから取り付け。

そして吸音材の充填。

FO-04
<完成写真>

これが完成形。
『樹海』でもよかったんだけど
いかんせんそれほど大きくない。
それと、明るくて元気な音で鳴るから
”キッド”の文字を付加した。


さっそく音だし。


さすがにもともと音圧の高いユニットだけあって、いきなり大音量。

ホーン効果も手伝ってか、ほんとにデカイ音。

それに、すごいホーン臭。

今まで聞いたことないくらいホーン臭さい音。

ま、それはそれでいいんだけど、それにしてもびっくりする。

それと、音が近い!

こういう表現が適切かどうかわからないけど、なんとなく近くで鳴ってる感じ。






KYUON-NASI

吸音材を全然入れない状態。
吸音材を入れて違いが出てくるのは低音部分。
もともとf0が100ヘルツ程度のユニットだから
ここまで低音が出てるのはやはりダブルバスレフの効果か?






KYUON-1+1
第一キャビネットと第二キャビネットそれぞれに吸音材を少しだけ充填した状態。
なぜか35ヘルツあたりに山が出来た。
なんでだろうか・・・
不自然な感じはするけど、一応35ヘルツの音が出てるのと
50ヘルツ前後の音圧が若干高いので、この充填方法を採用する。
このほかにも数パターン試したけど、結局これに決定。



その後数時間鳴らしてるうちにエージングが進んだのかかなり聞きやすい音になってきた。

ホーン臭さもいくらか落ち着いた感じ。

AURAの3.5インチユニットで作ったスピーカーほど低音も高音も出てないけど、

前へ前へ音がついて出る感じは、文句なく音楽が楽しめる音。

それと、音に張りと艶がある。

美しさとか華やかさはないけど、きっちりしたシャープな響き。

ジャムジャムのスピーカーとは比べ物にはならないけど、ライブハウスとかそういった感じの音はする。

ただ、やはりクラシックは辛いと思う。

まだかけてはいないけど、鳴らそうとも思わない。

ま、ジャズに特化したスピーカーとしては、かなりいいんじゃないか。




おわり。