やっぱり、尾田平先生はすごい。

 

 

 

パクリタキセルの投与が始まって数回後、副作用の手足のしびれがとてもひどかったので、一生治らなかったらどうしよう…と不安になっていた。

 

 

 

ところが、全十二回の折り返し地点に達した時、つまり六回分を終えた時のエコー診断の結果を聞いた私は、そんなことも一瞬忘れるくらい、驚いた。

しこりの大きさは、なんと、

 

 

「8ミリ」

 

 

 

にまで、小さくなっていたのだ!

明確に数字で示されたのがうれしかった。また、自分で触っても、しこりが小さくなっているのが明らかにわかった。じわじわと、反逆するように力が湧いてくるのを感じた。

かつては47ミリだったものが、19ミリになり、今、8ミリになったなんて…。

 

 

 

完全奏功するぞ!

 

 

 

と、決意した。

この頃、一冊の本に支えられていた。小堀昌子さんの、『乳がんを抱きしめて』。

39歳で乳がんと診断されてからそれを乗り越えるまで、とても分かりやすく、詳細に綴った治療記だ。「いつも心に太陽を」というご本人のモットーから想像できるとおり、つらい現実を前向きにとらえ、聡明に対処されていくさまが、心の動きとともによく伝わってくる。仕事もバリバリ続けられていて、同じトリプルネガティブでもこんな人もいるのかと、読みながら何度も心を打たれた。

 

 

 

 

 

 

少し長いけど、勇気づけられたところを引用させていただきたいと思う。

「がんになったのは誰のせいでもない。強いて言えば、体の持ち主である私自身のせいなのだろう。そうでないとしても、これは私の宿命として仕方のないこと。だから、誰のせいにするつもりもないし、決して自分自身をも責めるつもりもない。いや、むしろ、いったんは「これまでの39年間よくがんばったね」と自分自身を誉めてあげたい。そして、きちんと状況を理解して、この事態を必ず好転させてみせる。がんになったからといって、私の未来が不幸の一途だとは思わない。これからが、本当に私自身が試されるときなのだと思う。」

――『乳がんを抱きしめて』/小堀昌子(PC出版 2009年)

 

 

実は、これを読んで、私も声に出してみた。

「杏莉、35年間、よくがんばったね」

そっと自分に言ってあげたら、涙があふれた。ときには、こんないたわりかたも、いいのだと思う。

 

 

 

乳がんだと初めて診断されて約半年。もうすぐ、誕生日がやってこようとしていた。

 

 

 

 

 

 

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