ゴダール 気狂いピエロ | ブッチャー山のブログ

ブッチャー山のブログ

ブログの説明を入力します。

久しぶりに見ました。山田洋次作品の観客に媚びた生温さと不愉快さのフラストレーションを払拭しようとしてみましたが、やはり、素晴らしい作品であり、ゴダールの別の意味での、自分の観客への目配せはあるかもしれませんが、ある種の媚びの不在に清々し、改めて、ゴダールの天才を味わいました。いい加減なアフォリズムなどは無視して、ゴダールの音と画面の決めどころのリズムの素晴らしさ、一見、デタラメな繋ぎー明らかにわざとやっているのがわかる箇所もあるがーながら、いわゆる映画のセオリーをわざと外して、即興とシンボリックな表現の断片的な積み重ねをしながら、あれだけの深いポエジーを作り上げていくことができるのは、ゴダールしかいないでしょう。ゴダールの初期の総決算としての位置付けは全くその通りでありますが、映画の歴史の一つの総決算にもなりうる、恐ろしい作品でもあります。ベルモンドとカリーナは、これだけ演じるのは大変だったのではないかと思いますが(笑)、実に愉しげで、まさに、監督、出演者、スタッフの、若い力のスパークが凄まじい作品になっています。ユーモラスでメランコリック、繊細で大胆、根源的で前衛的。まさにそういう作品ですが、ある意味、これだけ映画らしい映画はなく、ある意味、フランス映画のエッセンスが詰まった、正統的な作品でもあります