予告編や滑り出しから、これは、中島哲也監督の、もしかしたら最高傑作になるのではないか、と期待してみました。オールスターキャスト、それに前作の「渇き。」と更に「告白」を足して２で割ろうとした、ということはないとは思いますが(笑)、どこかそれを思わせるような、力の入った作品になっており、実際、前述した、オールスターキャストの各々に見せ場を作り、エモーショナルな見せ場の連続のような作品になっています。そういう意味では、それぞれのパーツのクォリティーは高い作品にはなっています。岡田准一（前作の役所広司のイメージか(笑)）と小松奈菜の主役カップルも健闘していますが、妻夫木聡と黒木華のカップルの方が大芝居の連続で存在感では勝っており、岡田准一の内面性のくだりになると、バリエーションの方法がいささか安易で、ただひたすら、ゴーストバスターのような役回りにした方が作品のバランスが取れたように思います。ついでに付け加えるとしたら、小松奈菜が、風体の割にはまともで、崩れたキャバクラ嬢にはとても見えませんし、岡田准一と小松奈菜のの芝居をもっとデフォルメし、コミカルにしたほうが良かったかもしれません。「渇き。」での破綻癖が結局はここでも発生し、クォリティーの高いパーツが必ずしも生かされておらず、意地悪なことを書けば、作り手の自己満足を見せられているような錯覚すらおきてきます。エロやバイオレンスの取り扱いかたが下手くそとも言えますー結果として。全体をもう少し削ぎ落として、風通しをよくすれば、間違いなく傑作になりえたと思います。「嫌われ松子の一生」や「告白」以来、ヘビーなダークサイド作品で破綻を続けていて、いささか迷走している感のある中島哲也監督には、本人は不満足かもしれませんが、かつてのプログラムピクチャーのようで、軽快さのある、内面に足を引っ張っられずにすむ、そういう作品を撮ってほしいです。詰め込みすぎて消化不良になったり、未整理で舌足らずになったり、いささかチグハグにならないためにも。いささかトウが立った深田恭子と土屋アンナのコンビを復活させたら良いかもしれませんね(笑)暴言多謝